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「Japan CDO of The Year 2017」を日本ロレアルの長瀬 次英 氏に授与【第5回】
デジタルの時代だからこそ"人間力"が重要
また今回、海外で活躍するCDOも招聘した。HSO(Health Standards Organization:保健医療福祉標準化機構)のCDOに2017年10月に就いたAmy Yee氏である。HSOは世界中のヘルスケアのクオリティ向上をミッションにしたNPOであり、人々の健康に大きな影響を与えるための組織である。人々のニーズを理解し、より広く適切なヘルスケアサービスを届けるために、デジタルを利用する人材としてYee氏をヘッドハンティングし、彼女のためにCDOのポジションを創設した。
Yee氏は、CEOとともにHSOのビジョンや戦略を策定するとともに、社内の部門をまたぎ、横串で変革を進めている。プロジェクトでは社内だけでなく、クライアントや社外のパートナーとも積極的にコミュニケーションを取っている。人格者であり、コミュニケーション能力が高く、テクノロジーと人々の両方を理解している。会場からは「CDOというからテッキーな雰囲気の人が登壇するものと思っていたら、ドレスをまとった上品で笑顔の絶えない物腰の柔らかい女性が登壇し少々驚いた」との声も聞こえてきた。
CDOの役割をYee氏は、「点と点を結ぶ"ドットコネクター"であり、オーケストラの指揮者である」と表現する。社内に分散しているデータや人を最適に再配置し、デジタルツールを利用してニーズを把握しサービスを提供する。社内外の双方と積極的にコミュニケーションを図り、組織に変革をもたらすというわけである。
次回は、CDO Summit Tokyo 2018に登壇いただいたCDOからのメッセージや、CDOらによるパネルディスカッションから見えてきた、デジタル化が急速に進む国際社会において今後、日本が生き残るためのヒントを紹介したい。
鍋島 勢理(なべしま・せり)
CDO Club Japan 理事 兼 チーフコミュニケーションオフィサー。青山学院大学卒業後、ロンドン大学University College London大学院にてエネルギー政策を学び、鍋島戦略研究所を設立。現在は外交問題、サイバー攻撃について研究。海外の企業や省庁、自治体のデジタル化への対応と私たちの生活に与える影響を研究しつつ、日本の組織がデジタル化への対応が乗り遅れている現状に危機意識を抱き、CDO Club Japan理事に就任。国内外のCDOと交流を図り、組織へのCDO設置を啓蒙している。オスカープロモーション所属。