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元号は時代のブランド、新元号「令和」をブランド分析してみた【第20回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2019年4月22日

元号のテキストマイニングで分かる最も使われている文字は?

 248個の元号をテキストマイニングした結果が図2だ。最も使われている文字は「永」が29回、「元」と「天」が27回、「治」が21回、「応」が20回である。

図2:248個の元号で最も多用されている文字は「永」

 図2をみると穏やかなイメージの漢字が多く、勇ましい文字が選ばれる率は低い。令和の「令」も、命令・令状など冷たいイメージがあるので例外の中に入るだろう。冷たいイメージの「令」と、なごみのある「和」が組み合わされた絶妙の感がある。

 一方で今回は採用されなかった案に、「英弘、万保、万和、広至、久化」があったとされる。事後でも情報が洩れているのは、やはり情報管理の甘さを指摘されても仕方がない。

 浩宮(ひろのみや)様から来たのか、「ひろ」の字が2つも入っている。筆者が当初予測した「保、和、化」も入っている。「安」の字も候補に入るかとも思ったが、そこまで忖度しなかったのは良かった。

 落選した候補と令和の比較もナンセンスだが、令和か万和(ばんな)がブランドイメージとしては無難だろう。ただ万和の場合は「まな」とも読め、アルファベットの頭文字が「M」になり明治時代とかぶってしまう。そうなると消去法でも令和だったのかと思う。

 ニュースを見ていると、号外に人がたかって新聞紙を取り合い、中には人の手をつかんだり転んだりしている人もいる。国民総数からすれば、ごく一部の人の行動なのかもしれないが、令和にはふさわしくなく、和が全くない。海外からは「平和がない(令~ゼロ)」という意見もあるように、「和がない」とも皮肉られかねない。

「和」が使われたのは令和で20回目

 その「和」という文字は、「和銅」が奈良時代に、「承和、仁和、応和、安和、寛和、長和、康和、養和」が平安時代に出ている。「正和」が鎌倉時代、「貞和、文和、永和、弘和」が南北朝時代、「元和、天和、明和、享和」が江戸時代に登場し、そして「昭和」だ。

 和の出現は、平安時代が断トツで多く、南北朝時代も期間の短さの割りに多い。和が求められている時代に出現するようだ。阪神淡路大震災から東日本大震災といった震災の状況も、平安時代の「貞観(貞観地震)」「元慶(相模・武蔵地震)」「仁和(仁和地震~東海・東南海・南海連動型地震)」のころに似ている。令和は20回目の和である。これで「和」は「応」と同じく20回採用の漢字になった(図3)。

図3:令和の「令」は初めての採用だが、「和」の採用は20回目

 さてテレビドラマでは4月1日の放送回に「令和」をさっそくセリフに入れていた。録画番組だが、その箇所だけ俳優は後ろを向いてセリフを発しており、後から音声を入れている。文字放送でも「令和」が字幕に出ていた。ハンコ屋やデパートなども、すぐに関連した商品を売り出した。何とスピード感があるのか。そのスピード感は評価したい。

 ただ一方で、ブランディングが先行し、本来の意味を失っている感はある。元号は古来、天変地異を避けるために変えたり、縁起が良いことが起こることを期待して名付けられてきた。新しい時代には、さまざまなことが起こることも予測し備えたほうがいい。

 このように元号も時代のブランドとして分析できる。身近なことから国の一大事まで、分析はさまざまなことに用いられる。

 次回は、ビッグデータの法則の2つ目である「振り子現象」について述べる。そこでも時代の変遷が入ってくる。令和が、どういう時代になるのかを知る手掛かりにもなるであろう。

入江 宏志(いりえ・ひろし)

DACコンサルティング 代表、コンサルタント。データ分析から、クラウド、ビッグデータ、オープンデータ、GRC、次世代情報システムやデータセンター、人工知能など幅広い領域を対象に、新ビジネスモデル、アプリケーション、ITインフラ、データの4つの観点からコンサルティング活動に携わる。34年間のIT業界の経験として、第4世代言語の開発者を経て、IBM、Oracle、Dimension Data、Protivitiで首尾一貫して最新技術エリアを担当。2017年にデータ分析やコンサルテーションを手がけるDAC(Data, Analytics and Competitive Intelligence)コンサルティングを立ち上げた。

ヒト・モノ・カネに関するデータ分析を手がけ、退職者傾向分析、金融機関での商流分析、部品可視化、ヘルスケアに関する分析、サービスデザイン思考などの実績がある。国家予算などオープンデータを活用したビジネスも開発・推進する。海外を含めたIT新潮流に関する市場分析やデータ分析ノウハウに関した人材育成にも携わっている。