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お金の分析:その3=年代別モデル~50歳からのお金のサバイバル術〔後編〕【第28回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2019年12月9日

「利息・配当金収入」「不動産収入」「事業収入」の1つでも確保したい

 50歳以降は、さまざまなタイプの人がいるだけに「生き残る方策」もさまざまだ。まだまだ十分に働く体力と気力、もしくは、働かないといけない理由があれば働くことだ。ただ20代〜30代ならば、まだ30年近く第一線で働けるが、50代以降は働くうえで色々な問題に出会うであろう。「8050問題」など50代に関する話題は事欠かない。

 今後、給与収入が見込めない場合は「利息・配当金収入」「不動産収入」「事業収入」の中から1つでもよいので確保したいところだ。

 これらのうち事業収入は、これまでの経験・知見・資格が役立ち、趣味ともいえるような仕事によって得られることが望ましい。その場合は、個人事業主として仕事を始め、業務内容やビジネス次第で会社へ移行すればよい。なかなかノウハウを横展開できない場合は個人事業主のほうがリスクは少ない。

 ビジネスは精神論や気合によって、どうにかなるものではない。会社勤めを辞め、個人事業主で活動する前には、必ず十分に分析しなければならない。青色申告にするならば、自分で確定申告をし、総勘定元帳と仕訳帳を用意するノウハウも必要になる。

 これらは特別なアプリを購入しなくても表計算ソフトのExcelで簡単に作れる。別に経理の経験がなくても、日々の地道な積み重ねがあればできる。第25回で述べたように、生活水準を変えずに年に数十万~100万円程度、場合によってはそれ以上の節約も可能になる。

 全く貯蓄がなく、事情があって今まで通り働けないという人への対応は、さまざまだ。持ち家がある場合は、前述したハウス・リースバックという手もある。住んでいる場所から引っ越さずに自宅を売却し資金調達でき、固定資産税もかからないというメリットもある。

 「リバースモーゲッジ」という方法もある。自宅を担保にした融資制度の一種で、自宅を所有しているが現金が少ないという世帯には良い。住居を手放さずに、お金を確保するための手段だ。実際には相当の覚悟が必要である。しかも審査があるため必ず使えるわけではない。

 他に「減築リフォーム」という方法もある。広い家に住んでいる人は固定資産税対策や光熱費を減らす意味で検討はしてみたい。

働けるなら働くのが一番

 持ち家はなく、賃貸という世帯も少なくない。持っている不動産はなく、しかもお金が十分にない場合、働くのが一番だ。しかし、生活に困窮していて、誰にも頼れないうえ、働けない真っ当な理由があるならば、市役所の福祉課に相談に行く選択肢もある。

 そこまでの状況ではないが、お金を増やしたければ投資という手段を取らざるを得ない。ある程度の元手がないといけないが、リスクが高くギャンブル性は高い。それを承知で株式や投資信託を行う場合は、儲かった時のことも考えてNISAの制度を使うことだ。

 さらに、全くお金がないという世帯は、個々の状況を分析するしかないが、住んでいる場所を安いところ(地方自治体が誘致する場所、物価が安い海外など)に引っ越すという選択肢もある。

 その際、ミニマリスト的なライフスタイルを検討したい。つまり必要最低限度の生活様式である(図2)。

図2:50代の「生き残る方策」の例

 たとえば、自動車・バイクも含め売れるものはすべて売却する。固定電話、携帯電話、新聞契約は解約する。外食はせず、嗜好品は辞め、本を読みたければ買わずに図書館に行くなど徹底して無駄をなくすなどが考えられる。ちなみに、お金があってもミニマリスト的なライフスタイルを実践している人もいる。

 ただし、健康や生命に関わることは決して節約してはならない。それ以外は個々案件と言うしかないが、うまい儲け話には決して乗らないようにすることだ。

 次回は解説編として、今回の年代別モデルを導いた手法を説明する。それを基にすれば読者が自身や各世代についての分析が可能になる。

入江 宏志(いりえ・ひろし)

DACコンサルティング 代表、コンサルタント。データ分析から、クラウド、ビッグデータ、オープンデータ、GRC、次世代情報システムやデータセンター、人工知能など幅広い領域を対象に、新ビジネスモデル、アプリケーション、ITインフラ、データの4つの観点からコンサルティング活動に携わる。34年間のIT業界の経験として、第4世代言語の開発者を経て、IBM、Oracle、Dimension Data、Protivitiで首尾一貫して最新技術エリアを担当。2017年にデータ分析やコンサルテーションを手がけるDAC(Data, Analytics and Competitive Intelligence)コンサルティングを立ち上げた。

ヒト・モノ・カネに関するデータ分析を手がけ、退職者傾向分析、金融機関での商流分析、部品可視化、ヘルスケアに関する分析、サービスデザイン思考などの実績がある。国家予算などオープンデータを活用したビジネスも開発・推進する。海外を含めたIT新潮流に関する市場分析やデータ分析ノウハウに関した人材育成にも携わっている。