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自動車の制御/センサーデータをどう収集するか【第3回】

ファストデータの遠隔データ収集の課題解決(その1)

坂元 淳一(アプトポッド代表取締役)
2018年2月2日

考慮点4:伝送帯域に対するペイロード設計

 計測データをモバイルネットワーク伝送するうえで、大きな課題の1つが帯域幅の問題だ。エッジからのデータ伝送においては上りの帯域を利用することになるが、海外などを視野に入れると、カバーされる通信方式が地域やキャリアによって2G、3G、LTEなどさまざまで、利用できる通信方式によって送信できるデータ量も雲泥の差になる。

 同じ通信方式でも、移動体の場所や時間などによって実効スループットが変化する。このため、計測の目的や地域に応じて取得するデータ量を設計する必要がある。さらに欠損回収時には正常伝送と欠損補完伝送が並走するため、正常伝送時の想定をコンサバティブに考える必要がある。検討ポイントとしては、などが挙げられる。

  • 計測さえる地域でカバーされる通信方式(2G/3G/LTEなど)の把握と車載ゲートウェイの通信モジュールの対応
  • 計測する地域の帯域推定(必要に応じて現地で帯域測定調査を実施)
  • 想定される利用帯域(正常伝送 + 欠損補完伝送)
  • 遠隔回収しなければならないデータ種目の精査
  • ゲートウェイでの送信データのフィルタ処理とリサンプリング(間引き)の検討

 次回は、遠隔データ収集の課題となる「ペイロード設計」や「フィルタ処理の具体例」などについて、引き続き解説する。

坂元 淳一(さかもと・じゅんいち)

アプトポッド代表取締役。大手外資系ソフトウェアベンダーのプロダクトマーケティングなどを経て2006年にアプトポッドを設立。コンサルティグ、ソフトウェア開発などを中心に、エネルギーやモビリティ、スマートシティなどの社会実証事業やPoCプロジェクトに従事。2013年よりM2M/IoTのファストデータ処理に特化したエンドツーエンドの汎用フレームワークとクラウドサービスを自社製品として提供を始め、自動車分野やロボティクス分野など、産業機械製品のコネクテッド化を推進する事業を展開している。