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ブロックチェーンのこれから【第6回】
国際的な標準化も進展し“過熱的”な状況は過ぎた
これらの実証実験と並行して、関連法規の見直しや、ブロックチェーン技術の標準化なども進んでいる。標準化では大きく3つの動きがある。
1つが国際標準だ。2016年9月に「ISO/TC307」が新規に設立され、2017年4月からISO規格を開発するための国際交渉が続けられている。
2つ目は国内標準化だ。日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が、国内審議団体として国際標準化活動の中核を担い、日本からの企画提案や、審議文書の検討、関連団体・企業との連携などを進めている。
そして3つ目がコミュニティ標準だ。主にHyperledgerやEthereum Alliance、R3による標準化活動が活発だ。特に、Ethereum Allianceでは、「ERC:Ethereum Request for Comment」として、Ethereumで発行できるスマートコントラクトトークンの仕様を定めている。ただし、ブロックチェーンそのものが成長過程にあるため、標準化に対するフィードバックが常時必要である。
これらが繰り返されることで、実証実験からビジネスへの応用が本格的に始まっていくと期待される。最近は、日々のニュースにおいてはブロックチェーンの実証実験に関する記事が減ってきている。過熱状態を過ぎ、より冷静な目でブロックチェーンと向き合う時期に来ていると推測する。
とはいえ、「なぜブロックチェーンなのか」「どのようなサービスをブロックチェーンで提供することが最適解なのか」といった質問に対し、筆者も残念ながら、その答えを持ち合わせていない。
第1回でも触れたように、ブロックチェーンの世界の未来像としては、電子政府先進国として有名なエストニア共和国が参考になるだろう。行政だけではなく、医療や、その他の分野においてもブロックチェーンを基盤としたサービスが提供されている。
日本でブロックチェーンが浸透するまでには時間がかかりそうだ。だが福岡市のように、エストニア共和国の電子立国に向けた行政の仕組みに注目し、実証実験ができないかと動いている都市も存在する。