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  • デジタルシフトに取り組むためのソフトウェア開発の新常識

アジャイル開発に向けたITベンダーの選び方【第5回】

梶原 稔尚(スタイルズ代表取締役)
2019年1月30日

ITベンダーと対等に話せるだけの技術トレンドを知るべき

 より小規模なセミナーであれば、「TECH PLAY」や「connpass」など、IT系のセミナーや勉強会に特化した情報サイトを活用しましょう。メールアドレスを登録しておけば、興味がある分野のセミナー情報をメールで知らせてくれます。

 事業部門や企画部門の方にすれば、IT系のセミナーは技術者以外には敷居が高いと思われるかも知れません。ですが実際には、テーマに掲げる分野に強い技術者が、その技術を取り巻くトレンドを分かりやすく解説してくれます。逆に解説が上手くなければ、技術を十分に咀嚼し切れていないのかもしれません。

 セミナー後の交流会にも積極的に参加するべきです。そこで質問すれば、当該分野を得意とするITベンダーの技術者とも知り合いになれます。これはと思う技術者がいれば、自社での開発上の課題などを気軽に相談すれば良いのです。

 なによりも技術トレンドを自らが理解できるようになれば、ITベンダーとも対等に、かつ誠実に会話ができるようになります。このことはプロジェクトを成功に導くためにも不可欠な要素であり、パートナー探しにも、きっと役立つはずです。

「クラウド」「コンテナ」「DevOps」への取り組み状況も要チェック

 契約内容を考える前に、ITベンダーを探す際には、もう1つ、気にしておいてほしいキーワードがあります。デジタルシフトに向けたアプリケーションの高速開発における要素技術として現在、「クラウド」「コンテナ」「DevOps(開発と運用の融合)」が非常に重要になってきています(図3)。クラウドについての解説はいまさら不要かと思いますが、残り2つは、まだまだ馴染みがないかもしれません。

図3:ソフト開発をスピードアップする基盤技術

 コンテナは、アプリケーションの開発やリリースの効率を高めるために、サーバー仮想化よりも大幅に軽量化を図った基盤要素技術です。DevOpsは、システムの開発(Development)と運用(Operations)を組み合わせた造語で、両者を密接に連携させることで、ソフトウェアの構築からテスト、リリースまでを迅速・頻繁に、かつ安全に実行するための仕組みや活動を指しています。

 クラウドはもちろん、コンテナとDevOpsもソフトウェアの開発サイクルを大幅に高速化するためには必要不可欠な技術です。これらの技術に積極的に取り組んでいるかどうかが、デジタルシフトのための開発を委託するITベンダー選定では重要な条件になります。

 次回は、パートナーとしてのITベンダーとの契約内容について考えます。

梶原 稔尚(かじわら・としひさ)

スタイルズ代表取締役。慶応義塾大学卒業後、舞台俳優を志しながら、アルバイトでプログラマーになるも、プログラムのほうが好きになり、30代前半でIT企業を設立。以来、自らエンジニアとして数多くの業務系システムの案件をこなしながら、社長業を兼任する。

「最新技術やOSS(オープンソースソフトウェア)を積極的に活用することで、IT業界の無駄をなくし、効率の良いシステム開発・運用を行う」をモットーに、日々ITソリューションの企画・開発に取り組んでいる。趣味は散歩と水泳。