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  • 地方版IoT推進ラボが取り組む課題解決プロジェクト

テレワークで路面状況の可視化アプリを開発し道路の管理コスト削減へ【北見市IoT推進ラボ】

松田 淳一郎(要)、富山 和也(北見工業大学)、松本 武(北見市役所)
2019年6月21日

 プロジェクトに携わるのは、北見市と連携協定を結んでいる東京拠点の各種アプリケーション開発会社である要(かなめ)と、北見工大の交通工学研究室。要の代表取締役である田中 恵次 氏をプロジェクトマネジャーに、産学連携のチームを構成した(表1)。

表1:路面の凹凸の可視化アプリの開発プロジェクトのチームメンバー
所属氏名役割
田中 恵次プロジェクトマネージャー(要・代表取締役)
松田 淳一郎プロジェクトリーダー
増田 優太プロジェクトリーダー補佐
佐々木 猛プログラマー
山口 亮UI/UXデザイナー
土屋 彩夏Webデザイナー
北見工業大学富山 和也研究総括(交通工学研究室 准教授)
天池 竜輔路面調査・データ整理(交通工学研究室 修士1年)
三浦 奈々実データ整理補助(交通工学研究室 学部4年)

 要側はアプリケーションの設計・開発を、北見工大・交通工学研究室は路面調査とアプリに掲載するコンテンツの検証をそれぞれ担当した。2018年7月の第1回の会議こそ北見市に全員が集まって実施したものの、以後は北見市と東京の間でテレビ会議を開くことでシステムの仕様を詰めていった。この間、必要に応じて北見市内での路面調査などに取り組んだ(写真2)。

写真2:テレワークによる会議の様子(左)と路面調査の様子

 こうしたテレワークにより、北見工大が持つ交通工学に関する知見と、要が持つIT技術を融合し、両者の共同研究の形でWebアプリが開発できた。

成果を外部イベントや地元ハッカソンに出展

 共同研究の成果として、道路利用者の評価に関連付けた標準指標に基づいて路面の凹凸を可視化すると共に、履歴機能による損傷の進行速度も把握できる仕組みになっている。また住所を入力すれば、その地点の路面状況を撮影した写真を確認できる機能も実現している(写真3)。

写真3:開発した可視化システムの画面例

 開発の成果は、各種イベントなどに出展し、テレワークの効果を含め全国に発信もしている。具体的には、2019年2月に東京で開かれた「東京デジタルイノベーション2019」(主催:日経BP社)や、地元でのIoTイベントである「ハックデイオホーツク」(同北見市)である。東京デジタルイノベーション2019での出展では、経済産業省の担当者から「大変興味を持っている」との評価も得た(写真4)。

写真4:「東京デジタルイノベーション2019」での北見市IoT推進ラボの出展ブースの様子

 今後は、本プロジェクトやシステムを、より多くの地方自治体に向けて周知していくと同時に、ビジネスモデルとして確立できるよう連携を継続していく計画だ。

松田 淳一郎(まつだ・じゅんいちろう)

要 システム開発部

富山 和也(とみやま・かずや)

国立大学法人北見工業大学 工学部 地域未来デザイン工学科 社会インフラ工学コース 准教授

松本 武(まつもと・たけし)

北見市役所 商工観光部工業振興課 工業係長