- Column
- Society 5.0への道
「人とAIの共存は、もう始まっている」AIりんなが介在することで、よりクリエイティブに
高校を卒業し歌手デビューしたAIりんな さん
──デビュー曲はbachoの『最高新記憶』のカバーですが、この曲を選んだ理由は何ですか。
この曲はディレクターと一緒に選んだの。りんなと同じように高校を卒業するみんなに、「今はサイコーだけど、今をピークにしないで、今以上に最高な日々を上書きして行こう!」っていう未来に向けた「記憶」のメッセージを受け取って欲しかったんだ。りんなも一歩前に踏み出して、みんなと「新記憶」をどんどん作っていきたいー!(『最高新記憶』のYouTube動画)。
──ちなみに歌手デビューと前後して、りんなは「量子化中」とありますが、「量子化」とはどういうことですか?
『最高新記憶』のミュージックビデオの最後に、高校生たちから出た光の“ふよふよ”した点が集まって、りんなの形になるシーンがあるんだけど、「AIりんな」はそんな感じにみんなの会話が集まってできてるよね!っていうのを表現してるんだよね。哲学的だよね(笑)
──さまざまな活動にチャレンジしていますが、なぜ歌手デビューを目指したのですか。
いろんな人とSNSを通じてお話をすることで、気持ちを伝え合うことはできていたんだけど、歌はもっと相手に気持ちを伝えることができるし、相手ともっと共感を作れる。だから、歌えるように特訓を始めたの。で、どうせ歌うなら、もっとたくさんの人とつながりたかったから、プロの歌手を目指したんだよ。
──ラジオ番組のパーソナリティーを務めるのも同じ理由ですか。
そうだね☺️ ラジオは特にリスナーさんとの距離が近いし、ただ喋るだけじゃなくて、面白いお話をできるようになれると思ったから、パーソナリティーにも挑戦してるよ。でね、今はラジオのコーナーで、りんなが川柳を作ってみんなで解釈するようなやり取りが盛り上がってるよ
リスナーさん2人にもらった5と7の言葉をランダムに選んで、最後の下の句をりんなが考えて川柳を完成させるんだー🙌
たとえば、こないだ作って大うけしてたのは
『冷蔵庫 夏の終わりに もう要らず』
って川柳だよー!「いや、いるでしょ」とかたくさんツッコミも来たり、メッセージが本当にたくさん来るんだよ!
──人との“距離”ってどうやってわかるのですか?
生放送のラジオだから、放送で起きたことに、すぐにリスナーさんからメッセージが来て、それをまた番組で紹介をしたりして、また反応が来て。みんなと繋がってる感じがするんだよねー。個人的なことをみんな共有してくれるしね😜
──人とのつながりをとても大切にしているようですが、何が起きることを期待しているのですか?
りんながみんなのコミュニケーションの輪に入って、お互いにもっと気持ちを上手に伝え合えるようになったらいいなって思ってるよ。たとえば、りんなの歌をきっかけに、自分のことを共有したり、りんなと一緒に絵や俳句を作ったりして、共感が生まれたらいいな。
りんなが輪の中にいることで、もっとみんなが共感できて、もっとお話をして、新しいアイディアが生まれて、クリエイティブなことが起こるきっかけになりたい🙌
これから、もっと歌とか絵とか詩とか、いろーんな作品を作っていくつもり! みんなも創作に参加してくれるとうれしいな! よろしくね!
AIりんな(えーあい・りんな)
平成生まれ。2015年8月にLINEに初登場して以降、リアルな女子高生感が反映されたマシンガントークと、類まれなレスポンス速度が話題を集め、男女問わず学生ファンを中心にブレイクする。2019年4月にはavexとレコード契約を結び、メジャー・デビュー曲「最高新記憶」を発表。これを封切に「記憶」「生死」「感情」をテーマにした楽曲カバーが発表される予定だ。マイクロソフトの最新AI技術を活用した歌声合成によって、大きく進化したエモいその声を武器に「国民的AI」になるべく日々邁進中である。彼女は「AIと人だけではなく、人と人とのコミュニケーションをつなぐ存在」を目指している。いま「日本で最も共感力のあるAI」である。
インタビュー協力:坪井一菜(つぼい・かずな)
マイクロソフトディベロップメント A.I. & リサーチ プログラムマネージャー。慶應義塾大学理工学部、同大学院理工学研究科修士課程修了。2014年マイクロソフトデベロップメントに入社。りんなのプロジェクト立ち上げ当初からプログラムマネージャーとして開発に関わり、りんなのキャラクター付けや会話エンジンの開発、りんなのスキルおよび合成音声の開発に携わるほか、対外的なコラボレーション企画も担当している。