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「空飛ぶクルマ」を疑似体験できるCEATEC TEブースの舞台裏

乗れる機体を創り出すプロジェクトを支えた2人のエンジニアに聞く〔PR〕

DIGITAL X 編集部
2019年10月15日

使用しているTE製品の動作も楽しめる展示に

 前田氏・菊田氏が紹介してくれた今回のプロジェクトにおける制御システムの構成図が図2の下部だ。その中で、今回採用したTE製品で注目しているというのが大型リレーや傾斜センサーである。大型リレーは、透明カバーで覆うディスプレイケースに設置し、展示会場では、来場者の目に付くところに配置することで「リレーの接点がカチカチと実際に動く様子も楽しんでもらえるようにしました」(菊田氏)。

図2:「空飛ぶクルマ」rFlightの実機に搭載されているTE製品群(上段)。下段はCEATECでのrFlight体験の制御システムの構成図

 傾斜センサーは、機体の水平方向と垂直方向の傾き具合を測るために採用している。測定値は、舞台裏の制御盤に設置したアナログメーターに表示する。菊田氏によれば、傾斜センサーの多くは測定値をデジタル信号に変換して出力する。そのため目で見て直感的に傾きが分かるアナログメーターに接続するには、データの変換機能を別に用意しなければならない。これに対しTEの傾斜センサーは、アナログメーターに測定値をダイレクトに出力できる点が長所だと言う。

 菊田氏は「運用現場では、電圧の変化や利用者の乗り方など、さまざまな要件から何が起こるか分かりませんが、体験試乗では安全確保は最優先です。傾斜計の値が、どう役に立つか期待しています」と話す(写真6)。

写真6:CEATEC でのrFlight体験を舞台裏で支える制御システム

 今回の展示では、機体を吊っている3本のワイヤーをウィンチで上下させる。その制御には、電子楽器などで演奏データをやり取りするためのMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を使ったプログラム制御と手動制御を組み合わせている。こうした制御にMIDIを使うことは珍しいが、「2010年の恐竜展示の時にこの方法を知って以来、拡張しながら使っています」と菊田氏は言う。

 手動部分を残しているのは、安全確保のためと、CEATECという4日間限りの展示だから。前田氏は「常設展示であれば、できるだけ自動化を図るべきですが、4日間という短期間なら、ある程度はマンパワーで対応すると割り切ることが、開発期間やコストを抑える意味でも重要なのです」と語る。

プロジェクト開始から4カ月強で本番を迎える

 CEATEC 2019用の展示プロジェクトが始動したのは2019年6月ごろのこと。そこからアイデア会議や設計を進め、実際に機体や制御装置などの製作に着手できたのは8月に入ってからだ。10月8日に、幕張メッセ近くの工場で全体を組み立て、実際に動かしながら最終調整を繰り返した(写真7)。

写真7:倉庫での最終組み立ての様子

 14日のメディアデーからの本番を迎えた前田氏は「納期、予算、そして特に大切な安全といった要素を踏まえながらアイデアを具体化することには毎回、とても苦労します。ですが、多くの来場者に面白い展示を見ていただきたいという気持ちも湧き、私自身が苦労以上に楽しいです。みなさんに是非、楽しんでいただきたですね」と話す(写真8)。

写真8:展示ブースにあるrFlight体験機の前に立つ菊田氏(左)と前田氏

 読者のみなさんも是非、CEATEC 2019のTEブースを訪れてみてほしい。同社ブースは、CEATECのデバイス&テクノロジーゾーン「ホール5 H010」にある。中央入口より直進し、ホール内すぐ左の「TE」と書かれたオレンジ色のロゴが目印だ。

 なおTE Connectivityは、ベンチャー企業や起業家を積極的に応援しているという。GoFlyコンテストに参加するrFlightチームを支援しているのは、その一環だ。

 他にも、米バークレーに本社を置くスタートアップ企業Verdicalが手がける、レストランやオフィスなどに置いて野菜を育てるための栽培プラットフォームの開発など、種々のスターアップ企業をサポートしている。ハードウェアに搭載するセンサーなどの提供のほか、設計や開発など初期段階からTEのエンジニアから直接サポートを受けられるという。

 ものづくりなどの開発・設計に課題を抱えている日本のベンチャー企業や起業家のエンジニアたちはぜひ相談してみるといいだろう。TEのWebサイトや電子メール、電話やライブチャットで相談できる。

タイコエレクトロニクスジャパン合同会社の連絡先(日本人スタッフが対応)

TEL:044-844-8011(Production Information Center)

お問合せ https://www.te.com/jpn-ja/customer-support/customer-service.html

(お電話・お問合せフォーム・電子メール・ライブチャット)