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清水建設、豊洲スマートシティに投入する「建物OS」をCEATEC 2020 ONLINEで披露
“人の幸せ”につながるデジタルツインを構築へ
交通と人の交わりをビルを経由して把握する
当然、技術はいくつもあります。それらを端的に紹介するために用意した目玉が、豊洲スマートシティの中核に位置する「豊洲MiCHiの駅」につながるビルに導入する「建物OS」である「DX-Core」を使った都市モデルです。
豊洲MiCHiの駅は、東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」や、都心と臨海地域を結ぶバス高速輸送システム(BRT)、羽田空港・成田空港に接続する高速バスなどが乗り入れる予定の「交通結節点」です(図2)。
一方のDX-Coreは、建物のための基本ソフトウェア(OS)であり、建物が必要とする仕組みの基盤になります(図3)。スマートフォンに例えれば、ビルがスマホ、各種の仕組みがアプリケーションで、iOS/Androidに相当するのがDX-Coreです。
スマホがアプリを入れ替えることで機能が利用者それぞれによって異なるように、DX-Coreがあることで、ビルの躯体は変わらなくても、必要な仕組みを実装したり変更したりが可能になります。
豊洲MiCHiの駅に話を戻すと、そこでは交通結節点として多くの人が行き交うととともに、周辺のマンション群では多くの人が日々の暮らしを送っています。そこで何をしたいかは、人それぞれですが、その多様なニーズに一元的に対応するためには、DX-Coreといった建物OSが必要になってきます。
たとえば、自動車がエントランスに到着すれば、ナンバープレートをカメラで読み取り、訪問先に来訪を伝えられます。将来的には、ロボットが施設内を動き回り、エレベーターに乗り込んだり部屋に入ったりする際は、扉とも連携しドアが自動的に開閉します。
機能が変わっていく建物の「テスラ」を目指す
EV(電気自動車)のテスラに代表される自動運転機能を持つ車は、地図データや道路情報、車体制御用センサーなどからのデータのなどを統合管理しています。その意味で当社がDX-Coreで目指すのは、建物のテスラ化であり、そこでの清水建設は「デジタルゼネコン」になります。
−−物理的な建物でなく、そこでの利用シーンを提案するわけですね。
高木 当社はかねてから、ビルの物理的な快適さを追求してきました。建物の換気や空調設備のノウハウなども豊富に備えています。たとえば建物の快適性は室温や湿度で左右されますが、熱源となる人の移動状況を踏まえた対策を打つことも有効です。
折しも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の爆発により、いわゆるウイズコロナ時代に向けたオフィスの見直しが迫られています。そこでは、建物の換気や空調設備のノウハウなどが生きてくるはずです。
またビルの駆体は100年は保ちますが、人のニーズは変わりますし、デジタル技術も常に変化していきます。こうしたことを踏まえ、空間の設計や設備の配置方法にも工夫を凝らすようになってきています。