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顧客中心主義、顧客ロイヤルティとコスト最適化を両立できるセルフサービスの姿

SEO、FAQ、チャットなどのデジタルツール組み合わせで顧客体験価値を高めるトランスコスモスのDECサービス

2021年11月5日

自己解決率アップが顧客ロイヤルティ向上につながる

 では、DECサービス/トランスコスモスDXでは、いかにして顧客体験を向上していくのか。その重要な柱になるのが「セルフサービスの充実」というアプローチである。

 セルフサービスの充実が重要な理由を岩浅氏は、「デジタル化が進むなか、コンタクトセンターへの問い合わせにおいて『わざわざ電話をかけたくなかった』という顧客が実は相当数います。できればスマホやWebで解決したいと思いながらも、それが叶わないために電話をかけているのです。そうした顧客層に対し“自己解決率”を高めることは顧客満足度の向上につながります」と強調する。

 自己解決率のアップにつながるDECサービスの1つが「SEO対策FAQマネジメントサービス」だ。

 FAQ(よくある質問と回答)自体は目新しくはない。多くの企業が自社Webサイトに公開し、随時内容を修正してもいる。だが、電話での問い合わせが一向に減らないという課題を抱えているケースは少なくないのではないだろうか。

 さらに「公開しているFAQが十分に機能しているのか」「どのFAQを作成・修正・削除すべきか判断がつかない」「FAQを見てもらえれば解決できるにもかかわらず顧客がFAQに到達できていない」といった運用上の悩みを訴える声もよく聞く。

 FAQの構築と運用にミスマッチが起こっている背景には、FAQへの流入経路が異なってきていることがある。かつてのFAQへの流入経路はこうだ。ポータルサイトで問い合わせをしたい企業を検索して、そのトップページにアクセス。カテゴリを選択してFAQのページへ遷移してから、そのFAQページ内でメニューや項目を選択して、ようやく目的のFAQにたどり着く。

 これに対して現在の顧客は、ポータルサイトから直接、目的のFAQを検索する(図2)。逆にいえば、この操作で目的のFAQが見つからなければ、顧客はそこで諦めてしまうか、しぶしぶ電話で問い合わせるかになる。

図2:FAQへの流入経路が過去と現在では全く異なっている

 「スマートフォンの登場以降、Google検索の重要性が高まっています。検索画面上で適切なコンテンツを表示することが、セルフでの解決力を高めます。末端ページの量産ならび最適化を図るSEO(Search Engine Optimization)が重要な鍵を握るのです」(岩浅氏)

 SEO対策FAQマネジメントサービスでは、Google検索において適切なコンテンツが常に上位に表示され“ゼロクリック”で情報を取得できる状態を作り出す。

 トランスコスモス DEC統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括 事業推進本部マーケティング戦略部 部長の光田 刃 氏はゼロクリックについて、「検索画面から顧客が一回もクリックすることなく、検索結果ページに表示されるスニペット(説明文の部分)やナレッジパネル(画面右側に表示される企業名や店舗名などのビジネス情報)を見るだけで、問い合わせたい問題を自己解決できるようにすることです。サイト内検索でも適切なコンテンツが上位に表示される検索体験を提供します」と説明する。

写真2:トランスコスモス DEC統括 デジタルカスタマーコミュニケーション総括 事業推進本部マーケティング戦略部 部長 光田 刃 氏

 例えば、医療機器メーカーのピップが、SEO対策FAQマネジメントサービスを使って顧客の利便性を高めている(図3)。

図3:医療機器メーカーピップのSEO対策FAQマネジメントサービスによるゼロクリックの例。「エレキバン 貼ったまま入浴」とGoogleで検索すると、検索結果画面に回答が表示され、顧客の問題を解決できる

 以前は、検索結果にFAQページは表示されなかったが、FAQページの構造化により、検索上位に表示されるとともに、Google検索結果上部にも強調スニペットが表示されるようになった。自社サイトのFAQページへ遷移させることなく情報を提供できるようになった。

 企業側では、FAQで解決を図れない顧客への対応のみに集中できるため、コンタクトセンターへの問い合わせ件数の増加に伴う回答時間の遅延といった課題が改善でき、CX向上に大きな効果が期待できる。