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人への投資効果を高めるために従業員体験を「Microsoft Viva」で支援する

「DIGITAL X DAY 2022〜働き方改革を実現する『 チームビルディング 』」より、日本マイクロソフトの加藤 友哉 氏

ANDG CO., LTD.
2023年2月6日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下に、日本マイクロソフトの出社率は約5%にまで下がっていた。その後、オフィス勤務を再開しているものの2022年末時点の出社率は約18%に留まっている。日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの加藤 友哉 氏が、2022年12月に開かれた「DIGITAL X DAY 2022〜働き方改革を実現する『チームビルディング』」(主催:DIGITAL X)に登壇し、マイクロソフトにおける働き方の考え方や、そのための取り組みなどを説明した。

 「コロナ禍にあって、従業員それぞれが『環境やプライベート、抱える課題の優先度に合わせて働き方を決める』という真の意味での“ハイブリッドワーク”が日本でも定着してきているのではないか」−−。日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの加藤 友哉 氏は、同社での出社率の推移などから、こう分析する。

写真1:日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 プロダクトマーケティングマネージャーの加藤 友哉 氏

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが起こる前までは、日本マイクロソフトの従業員の約70%が出社していた。東京都が緊急事態宣言を出す2020年4月を前に、原則として出社を禁止し在宅勤務を強く推奨したことで、出社率は最低約5%にまで下がったという。2022年からはオフィス勤務を徐々に解禁し、従業員が出社するかどうかを選べる状況にあるが、2022年末時点の出社率は約18%にとどまっているという。

ハイブリッドワークでは“働く場所”の意義が問われる

 ハイブリッドワークについて米マイクロソフトは、世界11カ国の2万6人のフルタイムまたは自営のナレッジワーカーを対象にしたオンライン調査を2022年7月7日から同8月2日にかけて実施した。その結果をまとめたレポート『Work Trend Index』では、ハイブリッドワークの課題が浮き彫りになった。

 意思決定者の68%が「チーム内での結束や人間的なつながりが課題になると考える」とし、従業員の51%も「直属のチーム以外との人間関係が弱くなったと考える」と回答した。同時に従業員の83%が「同僚と交流したいから出社する」、73%は「職場に同じチームのメンバーがいれば、頻繁に足を運びたいと考える」と回答するなど、リアルなオフィスへの期待も高い(図1)。リモートワークで社内のつながりをどう形成するか、オフィスの価値をいかに高めるかが課題になる。

図1:ハイブリッドワークには人的つながりに対する課題があり、従業員はオフィスでの対面コミュニケーションを求めている

 この結果に対し加藤氏は、「自分の席がある、上司がいるといった理由だけでは、出社をうながすモチベーションにはなりにくいことが分かる。オフィスでの人とのつながりやアイデアを生み出しやすい環境の提供など“働く場所”としての新しい意義が求められているのではないか」と指摘する。

 働く場所の新しい意義を模索するために日本マイクロソフト自身は2022年、オフィスをリノベーションした。出社する従業員に向けては、執務エリアにコミュニケーションやコラボレーションの喚起を目的にブランコやビリヤード台を設置。会議室には、リモートで働く従業員とのコミュニケーションをシームレスにするための会議デバイスを配備した。リフレッシュやウェルビーイング(幸福感)の観点から瞑想ルームも設けたという。

 こうしたオフィスへの投資の背景には、「『あらゆるビジネスの原動力は従業員にある』という考え方がある」と加藤氏は話す。先のレポートで、米マイクロソフト会長兼CEOのサティア・ナデラ氏は、「今日のダイナミックな経済環境において企業が競争優位に立つためには、活力ある従業員の存在が不可欠だ」とコメントしている。加藤氏は、「従業員が義務感に駆られて働くわけではない。自発的に会社で働く意義を見出し、モチベーション持って働くことが重要なのだと解釈している」と補足する。

 従業員への投資が効果性の高い対象であることは、各種の研究や調査が指摘している。例えば、ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を運営する米LinkedInの調査レポート『LinkedIn Learning's 2020 Workplace Learning Report』では、従業員の94%が「学習や人材育成に積極的に投資する企業で長く働きたい」と回答。従業員エンゲージメントの可視化ツールを提供する米Glintの調査は、「従業員のエンゲージメントの高い組織は収益性が21%高い」とする。

 従業員への投資を促す動きも国内外で加速している。ISOLATED(国際基準化機構)が2018年に発表した『人的資本に関する情報開示のガイドライン(ISO30414)』では、ダイバーシティや組織文化、健康・安全といった非財務情報の開示を働きかけている。加藤氏は「人への投資が、株主や投資家など社内外のステークホルダーに対するアピール手法として有効になり得る」とみる。

 岸田文雄内閣が2022年に発表した『経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)』が重点投資分野の最上位に挙げるのは「人への投資と分配」である。経済産業省が同年に発表した『人材版伊藤レポート改訂版』は、「人事部が内向きに取り組んでいた人的資本に関する取り組みを、経営陣や取締役会などの意思決定者たちが人材戦略として真剣に取り組まなければならない」と提言する。加藤氏は「人的資本は投資であり、効果の可視化が重要という指摘だ」と付け加える。