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「Dynamic Work」掲げる米Okta、“オフィス中心”から“人中心”へシフト

「DIGITAL X DAY 2022〜働き方改革を実現する『チームビルディング』」より、Okta Japanの高橋 卓也 氏

阿部 欽一
2023年2月3日

オフィスは“コラボレーションの場”と再定義

 こうした変化に対応した職場や働き方を提供するためにOktaが掲げたのがDynamic Workである。高橋氏は、「新しい働き方は、これまでの“オフィス中心”から“人中心”へのシフトしていく。オフィスのあるべき姿や、さまざまな場所から働く社員への支援、どこからでも柔軟に働くために必要なテクノロジーまでを再考している」と説明する。

 そのDynamic Workを支えるのは、(1)適切なテクノロジー、(2)ワークスペースの再設計、(3)優れた企業カルチャーの構築の3つの柱である。

 「人が働く環境に求める要素が多様化した」(高橋氏)結果、人のパフォーマンスを高めるには、適切なテクノロジーが必要になる。ワークスペースの再設計ではオフィスを「社員同士やパートナーとのコラボレーションの場」(同)と定義した。

 優れた企業カルチャーの構築について高橋氏は、「従業員がDynamic Workを理解し文化を醸成できるこれが最も重要なポイントだ」と指摘する。「多様性を受け入れられるカルチャーを醸成することが大事だ」と話した。その一環としてOktaでは、オフィスと自宅とで変わらず仕事ができるよう、自宅のネットワーク環境のセットアップなども会社側が用意する。

 Dynamic Workに沿ったOkta Japanの新オフィスは、「人と人のコミュニケーションが取りやすい設計」(高橋氏)になっている。コミュニケーションがすぐに取れるオープンスペースや、静かな環境で会話できるブースなどが、それだ(図2)。在宅を含めたフレキシブルな働き方が実現したことで「海外から優秀な人材を採用するといった効果も得られている」と高橋氏は話す。

図2:東京・渋谷にあるOkta Japanの新オフィスの様子

 新オフィスの環境を実現するためのテクノロジーの活用には3つのポイントがあるという。(1)セルフサービスによる解決、(2)利用できるアプリケーションを集約するダッシュボード、(3)オンライン前提のコミュニケーションである。

 セルフサービスによる解決に向けては、サポートデスクのクラウドサービス「ServiceNow」を使ったサポートチャネルを整備した。い、業務上の不明点は「問い合わせチャネル」に質問し自己解決を図る。

 在宅で仕事をする際に必要になる机や椅子などの機材を調達するためのOkta社内専用のオンラインショップもある。高橋氏自身、Okta Japanへの入社は1年前だが、「必要なものは自身の裁量で購入できることに驚いた」と当時を振り返る。

 従業員が利用できるアプリは、従業員用ダッシュボードに、「その人に適切な権限が付与された状態」(高橋氏)で用意することで、ログインの方法や、どこからアクセスすればよいかなどが分からないという状態を防いでいる。

 オンライン前提のコミュニケーションには、上述した会議室のzoom連携などが該当する。加えて、コミュニケーションのための場所には、発話者が拡大表示されるオンライン会議用デバイス「Neat Board」も設置する。

働き方が多様化する中で情報伝達と透明性の維持を重視

 働き方が多様化することに対し高橋氏は「それでもオフィスがなくなるわけではない」と指摘する。リモートワークが進んでも「オフィス環境で、より柔軟な働き方を実現できれば、コミュニケーションやコラボレーションをさらに促進できる」(同)からだ。グローバルにDynamic Workを適用する同社では、「海外のオフィスでも国内同様に違和感なく働ける」(高橋氏)という。

 コラボレーションの促進だけでなく、ウェルネスルームや、静かに仕事ができるブースなど、多様性を受容し各人のパーソナリティを生かして業務に取り組むための仕組みが提供されているという。高橋氏は「多様性を受け入れ、個人のパフォーマンスを最大化するのがオフィスの役割だ」と強調する。

 その際に同社が重視しているのが、「情報伝達と透明性の維持」(高橋氏)だ。例えば、創業者である社長が参加する本社のミーティングの様子はリアルタイムに全世界に配信し、「何が話され、何が議論されたかが全社員で共有でき」(同)。タイムゾーンが異なる地域の社員のためにアーカイブをオンデマンドで配信もする。

 すべての業務プロセスをDynamic Workに沿って設計しているOkta。高橋氏自身、「素晴らしい業務体験ができている」と話す。そんな働き方の環境を土台にOktaは目下、ビジネスの拡大に取り組んでいる。高橋氏は、「Dynamic Workの働き方に興味があれば是非、コンタクトしてほしい」と呼び掛けた。

DIGITAL X DAY 2022 Online Liveオンデマンド

Okta Japan シニアソリューションマーケティングマネージャの高橋 卓也 氏による講演「『Dynamic Work』掲げる米Oktaが目指す“オフィス中心”から“人中心”へのシフト」