- Column
- 生成AIがもたらすパラダイムシフト ~業務効率化から顧客体験向上まで~
生成AIなど破壊的技術の登場への備えは持続的な3ステップの実行にあり
「DIGITAL X DAY 2024」より、アーサー・ディ・リトル・ジャパンの赤山 真一 氏
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- アーサー・ディ・リトル・ジャパン
生成AI(人工知能)技術が多様な産業に変革を迫っている。今後も生成AI同様に、既存の商品/サービスが持つ価値や、その市場を破壊してしまう「ディスラプティブテクノロジー(破壊的技術)」は確実に登場し続ける。大手コンサルティング企業のアーサー・ディ・リトル・ジャパンの赤山 真一 氏が「DIGITAL X DAY 2024(主催:インプレス DIGITAL X、2024年9月26日)」に登壇し、破壊的技術への円滑な対応に向けてマネジメントが取り組むべき持続的な施策について解説した。
「生成AI(人工知能)技術は『ディスラプティブテクノロジー(破壊的技術)』として、多様な産業に事業の見直しを求めており、真のディスラプションは、生成AI技術の用途が広がるこれからが本番だ。新たな破壊的技術は今後も出現し続けるだけに、マネジメントは変化を好機に転じるべく、破壊的技術への『構え』を持つべきだ」−−。アーサー・ディ・リトル・ジャパンのTIME(通信・IT・メディア・エレクトロニクス)プラクティス パートナーである赤山 真一 氏は、こう指摘する(写真1)。
生成AIなど破壊的技術は「いつまでに対応するか」の見極めが難しい
生成AI市場の成長は著しい。各種調査が、関連市場を含め2030年には750億〜1500億ドル規模にまで達すると予測する。プレーヤーとしてはMicrosoftやGoogle、Apple、Metaといった米国の大手プラットフォーマーに加え、業界特化型のスタートアップの新規参入も相次いでいる。
しかし、生成AI技術を利用する側にある企業の多くは「『生成AIとは何か』を理解し始めたばかりだ」と赤山氏は言う。その理解において赤山氏が必要性を訴えるのが「生成AI技術は万能ツールではない」ということだ。
生成AI技術は現状、「それ単独の機能により恩恵が受けられる産業において先行して利用が広がっている」(赤山氏)。だが生成AIは、「本質的に他のアプリケーションや、パターン認識やNLP(自然言語処理)、セマンティックといった個別領域に優れたAI技術との組み合わせで、より大きな価値を生む。生成AIは、さまざまなアプリケーションやAI技術を連携させたシステムの“オーケストレーター”として進化すると捉えるべきだ」と同氏は強調する。
企業における生成AI技術の浸透速度を左右する要因として赤山氏が挙げるのが、事業上の利益、信頼性、ユーザースキル、企業文化、導入のしやすさの5つである。これらを勘案しつつ、生成AIの活用を進めることになる。
だが、そこで生ずる課題が、「いつまでに対応すべきかを見極めが困難」(赤山氏)なことだ。近い将来、能力がどれほど向上するかが、そもそも見通しにくいうえに、既存技術も一定レベルで向上を続けている。それだけに、破壊的技術がビジネスに本当の“破壊”をいつもたらすかの予測は難しい」(同)からだ(図1)。