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  • 生成AIがもたらすパラダイムシフト ~業務効率化から顧客体験向上まで~

「ツール主導のDX」から「業務主導のDX」に舵を切り一気通貫のワークフローを実現せよ

「DIGITAL X DAY 2024」より、ServiceNow Japan クリエイターワークフロー営業本部の加藤 確 氏

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2024年11月7日

 デジタルワークフローのユースケースとして加藤氏は決裁ワークフローを挙げる。財務や調達、請求など決済に必要なデータは多くの企業がすでにERP(Enterprise Resource Planning:企業資源管理)システムなどを使って整備している。反面、「それらのデータ連携まで踏み込んでいるケースはごく少数」(加藤氏)だ。ここにデジタルワークフローを適用すれば、「データ/プロセスの連携により、申請から承認、分析までのプロセスが「一気通貫でデジタル化が図れる」(同)ことになる(図2)。

図2:デジタルワークフローによるデータ/プロセス連携における決裁ワークフローの“一気通貫”の実現例

 例えばNTTグループは、ServiceNowを使った同様の手法により、17万人が利用する決裁システムを刷新した。「決裁の承認フローを簡素化するとともに、ガバナンスを確保した業務効率化を実現している」(加藤氏)。また農林中央金庫は「開発生産性の高さを生かし、汎用ワークフローシステムの更改において、従来の単純更新では1年半と見込まれた開発を約8カ月で完了した」(同)という。

ドメイン固有のLLMを取り込み業務データの有効活用を可能に

 さらにServiceNowでは、積極的なM&A(企業の買収・統合)により生成AIをはじめとする各種AI技術の取り込みを加速させている。生成AI機能の「Now Assist」を通じた汎用LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)のほか、ドメイン固有のLLMも採用している。

 ドメイン固有のLLMは、「ServiceNowのSaaS(Software as a Service)機能だけでなく、カスタムアプリケーションである決裁システムなど特定業務におけるデータ活用にも向いている。これらはデータが集まるほど生成物の精度が高まり、社内でより効果的に生成AIの活用を進めやすくなる」と加藤氏は説明する。

 カスタムアプリケーション以外にAI機能を組み込む対象には、「テクノロジー」「従業員」「顧客」「開発者」などがある。これらに生成AI技術を組み込むことで、各SaaS製品の機能の高度化を図る。開発者に対しては、「SaaS製品を含むカスタムアプリケーションの開発支援機能として、各種『text to …』という開発支援を提供する」(加藤氏)という(図3)。

図3:「テクノロジー」「従業員」「顧客」「開発者」などのワークフローのすべてに生成AI技術などを使った機能開発を進めている

 例えば開発者向けワークフロー「Now Assist for Creator」には、自然言語によって説明からコードやワークフローを自動生成する「Flow generation」や、配置済みのアクションに基づいて次の推奨アクションを提示する「Flow recommendations」を用意する計画だ。開発効率が高まるほか、「エンドユーザーに対し、生成AIの成果物を基に、人が提供するサービスに頼ることなくセルフサービスで各種問題に対応できるようになる」(加藤氏)

 加藤氏は、「AI技術の活用ではユースケースの開拓が非常に重要だ。そのためにはまず、すでに用意された機能を使い応用方法を検討しながら、習熟度を高めていただきたい。それがひいては、生成AIによる新たな価値創出を加速させるはずだ」と強調する。

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