• Column
  • 生成AIがもたらすパラダイムシフト ~業務効率化から顧客体験向上まで~

「ツール主導のDX」から「業務主導のDX」に舵を切り一気通貫のワークフローを実現せよ

「DIGITAL X DAY 2024」より、ServiceNow Japan クリエイターワークフロー営業本部の加藤 確 氏

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2024年11月7日

DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みにおいて、業務の一部をツールによりデジタル化にとどまるケースは少なくない。ワークフロー基盤を提供する米ServiceNow日本法人のソリューション営業統括本部 クリエイターワークフロー営業本部 本部長である加藤 確 氏が「DIGITAL X DAY 2024(主催:インプレス DIGITAL X、2024年9月26日)」に登壇し“真のDX”の実現に向けた「業務主導のDX」の意義と、具体的な方策について解説した。

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは多くの企業で確かに進んでいる。ただし、その大半は、一連の業務における部分的なデジタル化にとどまるのが実態だ。DXで目指すべきは、業務全体のデジタル化によるイノベーティブなプロセスやビジネスモデルの創出にある。その実現に向け、理想と現実を埋める策を見い出さねばならない」−−。米ServiceNowの日本法人ServiceNow Japanでソリューション営業統括本部 クリエイターワークフロー営業本部 本部長を務める加藤 確 氏は、こう訴える(写真1)。

写真1:ServiceNow Japan ソリューション営業統括本部 クリエイターワークフロー営業本部 本部長の加藤 確 氏

新たなサイロ化を生む「ツール主導のDX」からの脱却を

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを通じて、企業の業務プロセス変革における“あるべき姿”は大きく変わった。変化対応やDXの推進に向けたスピードをより重視するようになり、アプリケーションの開発/配布においても一層の早さを追求するようになった。デジタル化の対象業務が広がり、アプリケーションの数も格段に増えた。開発モデルもローコード/ノーコード開発など、事業現場が直接参加できるスタイルへの見直しが進んでいる。

 こうした状況がDXの推進にとって追い風であることに間違いない。だが加藤氏が指摘するように、部分的なデジタル化にとどまり、「業務プロセスとしてつながっていない」(同)という実態がある。

 その理由の1つに、「システム刷新の意識が強すぎるあまりの“無秩序なデジタル化”による新たなサイロ化」(加藤氏)がある。「DX推進にあたっては、セキュリティやコンプライアンス、法制対応などへの配慮も当然、不可欠になる。それらの要求のもとでのプロセス刷新は、現実問題として一筋縄ではいかない」(同)からだ。

 加えて加藤氏が理由に挙げるのが「従来の『ツール主導のDX』のアプローチ」である。ツールは特定業務のデジタル化では力を発揮する一方、デジタル化できる対象は当然、当該業務のみになる。「ツール主導のDXでは、例えばRPA(Robotic Process Automation)を導入しても単体タスクの自動化にとどまってしまうケースが多い。そこから脱却し“真のDX”という目標を達成するためには『業務主導のDX』に舵を切るべきだ」と加藤氏は強調する。

一貫したデジタル化を実現する「デジタルワークフロー」

 業務主導のDXの推進に向け、加藤氏が必要性を強調するのが「デジタルワークフロー」である。業務プロセスをEnd to Endでデジタル化するためのデータモデルやアーキテクチャーなどを指し、ServiceNowとしてはワークフロー基盤「Now Platform」として提供する(図1)。「人手によるタスクやシステム連携まで含めた業務プロセスを対象に、分断されたプロセス同志のデータ連携の“ハブ”として機能し、End to Endの一貫した業務プロセスのデジタル化を実現できる」(加藤氏)とする。

図1:ServiceNowが提供する「デジタルワークフロー」の概念。End to Endの業務プロセスをデジタル化する

 ServiceNowをアプリケーションの観点から見れば、ローコード/ノーコードによる開発・実行環境でもある。「業務プロセスの定義のみでアプリケーションを開発でき、DX推進に向けた開発生産性を高められる」(加藤氏)という。その特徴は次の4つである。

特徴1 :アプリケーション開発のスケールを容易にするためのローコードからプロコードまでカバーする開発機能
特徴2 :ネイティブモバイル・Webクライアントや仮想エージェントなどを組み合わせたEX(Employee Experience:従業員体験)の実現
特徴3 :ワークフロー、RPA、関連システムとのシームレスな連携機能
特徴4 :生成AI(人工知能)技術やパフォーマンス分析、予測インテリジェンスなどによる意思決定の追跡・最適化・自動化の支援