- Column
- 人とAIの協働が導く製造DXの勝ち筋 「Industrial Transformation Day 2025」より
IoTが生み出す価値が生成AIの組み合わせで“新たな価値創出”につながる
「Industrial Transformation Day 2025」より、ソラコム テクノロジー・エバンジェリスト 松下 享平 氏
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- ソラコム
生成AIを使ったアプリケーションのローコード開発も可能に
そのうえでソラコムは「IoTの“先”を見据えた取り組みを本格始動させている」(松下氏)。生成AI(人工知能)技術の活用だ。IoTではこれまで、蓄積した現場データを人が分析し、その結果に基づき、整備された制御の仕組みを使って自動化や可視化を実現してきた。ここに生成AIを加えると「手間なくリアルタイムでの分析や処理が可能になり、人は価値発見やビジネス創出に集中できる」と松下氏は説明する。
生成AI活用に向けた実証実験を、三菱電機や東京大学発の松尾研究所と共同で実施している。空調機器の制御を目的に、センサーデータや、外部の天候情報から得られた環境データ、空調機器の設定温度、オフィス勤務者からの快適性に関する情報を組み合わせ、生成AIで空調状況を判断した。結果「快適性を維持しながら電気使用量を平均で48%削減できた」(松下氏)という。
こうしたメリットを広く享受してもらうためにソラコムは、IoTアプリケーションを生成AIを使って開発できるサービス「SORACOM Flux」を2024年7月に提供開始した。IoTデバイスで「データを送信する」というイベントに対しルールを適用することで、複数のデータソースや生成AIを組み合わせたデータの分析/判断や、外部アプリケーションとの連携を可能にする(図2)。「GPT-4o」「Azure OpenAI Service」「Amazon Bedrock」「Google Gemini」といった各種生成AIサービスに対応する。
SORACOM Fluxについて松下氏は「工場内などを撮影したカメラ映像を生成AIで常時分析し、倒れている人を検出すれば即時に、外部API(Application Programming Interface)を呼び出し関係者に電話をかけるといった仕組みを、ローコードで構築できる」と説明する。
IoTによるデータの可視化やデータ分析に、生成AIを組み合わせることで、省力化・自動化や既存ビジネスのスマート化、新規事業の創出という狙いの実現方法は、大きく変化しそうだ。SORACOMから、どのような事例が生まれるのかに注目したい。