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- 課題解決のためのデータ活用の始め方
データ活用に向けた収集データの優先順位と成功へのステップ【第3回】
データの可視化から現状を把握し行動にまでつなげる
データが貯まってくれば、ExcelやBI(Business Intelligence)ツール、データベースの集計機能などを用いてデータを可視化します。
ただし、グラフ表示などで可視化しただけではビジネスは向上しません。可視化したデータを元に行動を起こし、ビジネスを改善しなければなりません。そのためには、どんな数字、どのようなデータが必要かをはっきりと決める必要があります。
例えば、ビジネスを改善するために、日々の売り上げや収益、収益につながる顧客数をモニタリングしたいなら、顧客数が増減した際に、その要因を深掘りできるようなデータを集め可視化する必要があります。可視化から現状を把握し、行動につなげるまでのステップは以下のようになります。
ステップ1:現状把握のための基本指標を可視化
まず、ビジネスの健康状態を示すKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)/KGI(Key Goal Indicator(重要目標達成指標)として、次のような基本指標から可視化します。なお日次や週次・月次で見るような指標については比較検討が容易になるダッシュボード化を図ります。
- 売上系指標:日次・月次売り上げ、前年同期比、商品別売り上げ
- 顧客系指標:新規顧客数、リピート率、顧客単価
- 効率系指標:在庫回転率、コンバージョン率、離脱率
ステップ2:異常値や変化点を発見する
次にビジネスの変化を素早く察知できる仕組みを作ります。
- 前日比・前週比で大きく変化した指標にアラートを設定
- 季節性を考慮した異常値検知の実装
- 複数指標の相関関係から異常パターンを発見
ステップ3:要因を深掘りする
異常や改善機会を発見したら、その要因を特定するためにデータを深掘りできるドリルダウン分析を実装します。
ステップ4:行動につながる示唆を明確化
分析結果を「So What?(だから何?)」の視点で整理し、具体的な行動を定義します。行動は具体的に定義する必要があります。
●良い例:20代女性の購買率が先月比30%低下。競合の新商品発売が影響。価格帯を見直し、限定クーポンを配布すべき
●悪い例:20代女性の購買率が低下している」(アクションが不明確)
ステップ5:効果測定とPDCAサイクルの確立
実施した行動の効果を測定し、継続的な改善につなげます。
- アクション実施前後でのKPIの比較
- A/Bテストによる施策効果の検証
- 成功・失敗要因の分析と横展開