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「多くの人々が仕方なく位置情報を提供している」、オランダHereが調査
「多くの人々が不安を感じながらも、位置情報をアプリ制作会社に仕方なく提供している」--。こんな調査結果を、自動運転車用地図データなどを提供するオランダのHERE Technologiesを2018年3月5日に発表した。アプリ制作会社に対し、位置情報の集め方を見直し、適切に扱っていることへの理解を求める必要があるとしている。
今回の調査は、オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、日本、オランダ、イギリス、アメリカの8カ国で合計8000人を対象に実施した。調査結果からは大きく2つの課題が浮き彫りになった。
1つは、多くの人々が自身の位置情報を集めて利用する企業に不安を抱いていること。回答者の76%が「自身の位置情報を企業に提供することに不安を感じる」と回答した。「企業が収集した個人の位置情報を適切に扱っている」とする回答は2割に満たなかった。「法律や規制が企業による位置情報の不正利用を止めてくれる」という回答も2割未満だった。
もう1つは、自身の位置情報の提供方法の設定方法を知らない人が多いということ。回答者の44%が、「位置情報の提供を制限するように設定しているはずが、知らぬ間にアプリやサービスに位置情報を利用されていた」と回答している。企業が個人の位置情報を収集し、それをどのように扱っているのかをしっかりと認識していた人は、回答者の4分の1にとどまった。回答者の多くが、データ共有の設定を変更していないと見られる。
一方で、回答者のおよす70%が、企業が位置情報を取得する理由や、どのように利用するかを説明し、収集した位置情報を安全な形で保存あるいは利用後に自動的に破棄することが分かれば、位置情報を提供しても良いと答えている。位置情報を提供するで得られる利点も理解しているからだ。「自動車の安全性向上のため」なら回答者の73%が、「自動運転車が効率の良い経路を検索するため」なら72%が、「行方不明になった人や物、ペットをドローンで探すため」なら69%が、位置情報を提供するとしている。
また回答者の63%は、「自身が持つ端末すべてに共通のセキュリティ設定を適用するサービスがあれば利用する」と回答。51%は「自身の個人情報の管理をAI(人工知能)に任せたい」とした。
こうした結果についてHEREは、個人の位置情報を収集しようとする企業は、どのように位置情報を収集し、データをどのように扱っているのかをすべて公開し、利用者に丁寧に説明する必要があるとしている。加えて、データ共有設定をより使いやすくし、利用者が喜んで使うようにする必要もあると指摘している。
HEREのCPO(Chief Platform Officer)であるPeter Kürpick博士は、「企業が利用者の個人情報を取得するときに『クリックしたら同意』といった手法を使い続けていては、問題はさらに大きくなる」と警告する。そのうえでHEREとして、「サービスとしてのプライバシー」というコンセプトの事業展開を検討していることを明らかにした。
具体的には、新しいプライバシー対策としての、アクセス権の付与や取り消し、プライバシー設定の管理、共有項目の制限などであり、それぞれを利用者が容易に設定できるユーザーインタフェースが不可欠だとしている。