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『Impress DX Awards』2017年度の総合グランプリはデンソーが受賞

受賞者数は全5部門で合計21社/団体に

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2018年3月22日

全5部門で合計21社/団体がグランプリ/準グランプリを受賞

 『Impress DX Awards』に設けられた部門は5つ。(1)プロジェクト部門(2)アプリケーション/サービス部門(3)IoTプラットフォーム部門(4)ネットワーク部門(5)エッジコンピューティング/デバイス部門。それぞれでグランプリと準グランプリが選ばれた。複数社が共同で実施している取り組みもあり、受賞企業数は合計で21社/団体に上る。

 各部門のグランプリ/準グランプリの受賞者は以下の表1〜表5のとおりである。

(1)プロジェクト部門
受賞名受賞組織名受賞対象概要選考理由
グランプリデンソーデジタルイノベーション室の取り組みビジネス開発の視点とテクノロジーの視点を同時に考え行動する”シリコンバレー流”手法を実践するチームを立ち上げ、半年間で顧客向けサービスを実現するなどしている。DXに向けては、組織風土からの変革が不可欠。ものづくり文化が強い製造業にあって、新たな組織を設置し、変革への意思を示すと同時に、成果を短期間で上げている。
準グランプリSOMPOホールディングスデジタル戦略室の設置とAI工場などの推進組織に横串を指すデジタル戦略部を設け、人材育成からAI開発までを積極的に推進。AI工場戦略を打ち出し、データに基づくヘルスケア事業などの新領域に乗り出している。データサイエンティストやAI技術者などの組織化や育成を業界を超えて先導。デジタル分野の研究だけでなく、事業部門とも連携し現場が求める新機能も実現している。
会津若松市/アクセンチュア会津若松スマートシティ構想震災以後、単なる復興策ではなく、データ活用とデジタル人材育成を両軸に、都市の継続的な成長を市民を巻き込みながら実現している。エネルギー、ヘルスケア、移動など縦割りになりがちな取り組みにおいて、個人に紐付くデータを一元管理するプラットフォームを構築し、新サービスを生み出している。
(2)アプリケーション&サービス部門
受賞名受賞組織名受賞対象概要選考理由
グランプリコマツ/ランドログLANDLOGi-Constructionの実現に向け、建設現場全体を対象にしたクラウドプラットフォームを構築。オープン化を図り、パートナー企業による各種サービスの統合を進める。独自展開してきた「KOMTRACK」の方針を転換し、プラットフォーマーを指向している。日本発のサービス統合基盤としての今後の進展に期待する。
準グランプリシャープ「COCORO+」「AIoTプラットフォーム」 などのIoT関連サービス生長戦略として8Kテレビと「AI+IoT」のIoT事業にかける。IoTプラットフォームでは、家電のほか、ロボットなども接続し、スマートホーム/オフィスを実現する。IoT冷蔵庫などの製品化はあるが、従来から持っている音声認識技術などを活かしスマートフォーム領域でのコンセプトメーカーになっている。
ヤマト運輸/DeNAロボネコヤマト自動運転車を使った宅配サービス。スマホアプリを利用し、好きなときに好きな場所で待ち合わせられる配達を可能にする。荷物をドライバーが届けるのではなく、受取者が車まで出向くことを想定する取り組み。「人が届ける」という宅配の定義を変えようとする意欲的な取り組みである。
サンスターグループ オーラルケアカンパニー/ 富士通IoT予防歯科サービス歯科医が持つ診断結果と、スマートハブラシを使って取得する家庭での歯磨きの様子を共有するためのプラットフォーム。予防歯科への転換をうながす。医師と患者の間で不平等だった診療情報を共有するほか、日々の歯磨きの様子も共有することことで、医師/患者のそれぞれが意識改革を図るきっかけになる。
(3)IoTプラットフォーム部門
受賞名受賞組織名受賞対象概要選考理由
グランプリ日立製作所HAF/EDC(Hitachi Application Framework/ Event Driven Computing)IoTに向いているイベントドリブン型アプリケ−ションの開発・実行環境。従来の自前主義を脱却し、OSSを活用してプラットフォームを構築。既存技術を組み合わせたIoTプラットフォームが多い中で、大量のセンサーデータが集まるIoTの特性に合わせたアプリケーション重視のプラットフォームになっている。
準グランプリシスコシステムズKineticエッジコンピューティングの概念を取り込んだIoTプラットフォーム。データの扱いに主軸を置き、センサーで集めたデータ活用を容易にする。データの流れに着目し、複雑化するIoT環境を容易に構築できるようにした。業種・業務別に早期立ち上げのためのセット商品も用意されている。
さくらインターネットsakura.io月額60円から利用できるIoTプラットフォーム。デバイスに組み込める通信モジュールと通信環境、データの保存環境などを一体で提供する。IoTの実現に必要なサービスをまとめることで、利用者へのテクノロジーに対する敷居を下げている。
(4)ネットワーク部門
受賞名受賞組織名受賞対象概要選考理由
グランプリソラコムSORACOM Air for LoRaWAN無線免許なしでゲートウェイを展開できる通信技術「LoRaWAN」へ対応し、LoRaWANゲートウェイと同ゲートウェイ用の通信サービスを提供している。IoTのためのネットワーク「LPWA」を積極的に推進。従来サービスと相まって、より柔軟なIoTサービスの開発・提供を可能にした。世界展開にも期待する。
準グランプリ京セラコミュニケーションシステムSigFox仏Sigfoxが展開するLPWAのサービスを日本国内で提供。都心部から提供エリアを拡げている。基地局型ネットワークを利用するという選択肢を提供。ネットワークの運用負荷をなくし、よりアプリケーションに集中したシステム構築を可能にしている。
NTTコミュニケーションズ100円SIM月1MBまで100円で利用でき、通信しなければ最大11カ月間無料で使えるIoT向けのSIM。インターネットを経由せず閉域網のVPN経由で通信する。IoTを実現するに当たり検討課題の1つであるネットワークに対し、安価な選択肢を提供し、IoTサービスの開発・提供をうながしている。
(5)エッジコンピューティング&デバイス部門
受賞名受賞組織名受賞対象概要選考理由
グランプリアマゾンジャパンAmazon Echo(Alexa)音声認識機能を備えた家庭用スマートスピーカー。日本語対応により、国内市場に投入した。日本発売により、ビジネス領域を含めた各種スキル(音声認識対応アプリケーション)の開発をうながすとともに、同種のスマートスピーカーの開発競争いにも火を付けた。
準グランプリグンゼ/RIZAP筋電WEARRIZAP用に開発した筋肉の動きを図るためのウェア。筋肉内部の状態が分かるため、より安全で効果の高いトレーニングが可能になるという。医療系ウェアラブルの実施例。各種センサーで集められるデータで何が可能になるかのイメージを膨らませてくれる。日本の繊維業界の活性剤としても期待される。
キャタピラージャパンCat320前後左右の作業に必要なセンサー類を標準装備にしたショベルカー。IoTを使った安心・安全な作業を可能にする。建設機械用センサーや解析装置は高価で土木事業者の負担になっている。標準装備にすることで価格を下げ、中堅企業を含めたi-Constructionへの取り組みを後押しできる。