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AIはデータマネジメントを求め、データマネジメントはAIを求める
Informatica World 2019
クラウド各社のAI/MLの環境整備競争が追い風
まず前半の「AIはデータマネジメントを求める」とは、データをAIで分析・活用しようとすれば、分析に値するデータ環境が必要ということだ。これはAIに限らず、ビッグデータやBI(Business Intelligence)などデータ活用においては、データ品質やデータのサイロ化が常に指摘されてきた。データマネジメント関連ツールベンダーであるインフォマティカにすれば、まさに本業である。
しかしAI/MLによるデータ活用になれば、従来以上にデータマネジメントの重要性が高まるのも事実。より大量に、より複数の形式のデータを扱う必要があるからだ。
そうした環境の創出を加速しているのが大手クラウドベンダーだ。各社がAI/MLの開発・実行環境をクラウド上に構築し、「誰もが、すぐに利用できる」ようにすることを競い合っている。クラウドベンダーにすれば、利用企業がオンプレミスや他者のクラウド上で管理しているデータを含めて分析できるようなデータ環境が必要だ。すべてのデータが、どこか1社のクラウドにあるということは、まず考えられないためである。
21日の基調講演に登壇した米データブリックスも、その1社。同社はオープンソースの分散処理フレームワーク「Apache Spark」の開発元であるが、現在はAI/MLによるデータ分析を可能にする「Unified Analytics Platform」の提供に力を入れている(写真3)。データブリックスのCEOであるアリ・ゴディシ氏は、「AI/MLは今後10年で、もっと使いやすくなり誰もが利用するようになる。そのためにはデータ環境の整備が不可欠だ」と指摘する。
そのためデータブリックスとインフォマティカは、複数のデータソースから大量のデータをUnified Analytics Platformに取り組むためのツールとなる「Intelligent Data Pipeline」を共同で開発することを明らかにしている。
MS、Google、AWSの3大クラウドと接続
データ統合に向けてインフォマティカが提供するのは、クラウドデータ統合の「iPaaS(Integration Platform as a Service)」だ。メガクラウドベンダーとiPaaSの連携では、前年の「Informatica World 2018」において米マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」との連携強化を発表している。Azureの利用環境から直接、iPaaSの機能を利用できるようにした。
そして今回、21日午前の基調講演にはGoogle Cloudの CEOであるトーマス・クリアン氏が、同日最後の基調講演にはAWS(Amazon Web Services)からワールドワイドマーケティング担当VPのアリエル・ケルマン氏が登壇。それぞれに戦略的なパートナーシップを構築し、Google Cloud上でのデータ変換や、AWS環境へのデータ移行などを進めることを表明した。
さらに22日の最終基調講演には、マイクロソフトのAIビジネス担当コーポレートVPのスティーブ・グッゲンハイマー氏が登壇し、Microsoft AzureにおけるAI分野への投資が拡大していることを強調。両社は、前年のiPaaSに続き、インフォマティカのデータカタログ機能である「EDC(エンタープライズ・データカタログ)」との統合を進めることを発表した。
さすがに、Google Cloud、AWS、マイクロソフトが同じ壇上に立つことはなかったものの、インフォマティカは主要メガクラウドベンダー各社とデータマネジメント分野で手を結んだことになる。クラウドベンダーにしても、マルチクラウド対応を標榜する限り、インフォマティカが持つデータ接続やデータ変換などの技術や機能は、それぞれのサービス利用者・利用量を増やすためには不可欠ということだろう(写真4)。