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AIはデータマネジメントを求め、データマネジメントはAIを求める
Informatica World 2019
AIエンジン「CLAIRE」で広がるユーザー層に対応
ではインフォマティカにとって、もう1つの側面である「データマネジメントはAIを求める」とは何か。
これは、データマネジメントのためにAI/MLを利用すること、すなわちインフォマティカの製品機能自体をAI/MLでインテリジェントにすることだ。具体的には、2017年から投入している同社のAIエンジンである「CLAIRE(クレア)」の機能強化や、適用範囲の拡大である。
CLAIREは、同社製品がデータ管理利用しているメタデータや、各製品の利用ログなどを分析し、分析に必要なデータがどこにあるか、あるいは「このデータを利用してはどうか」といった“お薦め”などを可能にするAI/MLのエンジン。非構造データの増加に伴い、自然言語処理といった領域もカバーする(写真5)。
IDPのポートフォリオでは現在、(1)データ統合、(2)iPaaS、(3)ビックデータ統合、(4)データ品質管理、(5)マスターデータ管理(MDM)、(6)エンタープライズデータカタログ(EDC)、(7)データガバナンスの7つの分野がある。それぞれがCLAIREによる“お薦め”など使い勝手を高める機能の恩恵を受けるわけだが、インフォマティカがより注力するのは、MDMとデータガバナンスの領域だ。
ユーザー層が広がるほどデータガバナンスが重要になる
その理由について、同社でクラウド、ビッグデータ、データ統合を担当するシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのローネン・シュワルツ氏が単独インタビューで答えてくれた(写真6)。
最大の理由は、「ユーザー層の広がり」(シュワルツ氏)だ。AI/MLを使ってデータマネジメントツールの使い勝手が良くなれば、これまで敬遠してきた事業部門のスタッフなどもデータ分析に取り組み易くなる。
加えて、AI/MLを使ってデータを分析するデータサイエンティストやAI技術者なども、データマネジメントツールを操作するようになる。シュワルツ氏は、「AIの専門家はMLなどには詳しくても、データ統合や管理などの専門家ではない。彼らは従来にない新しいタイプのユーザーだ」と指摘する。
もう1つの理由は、「ユーザー層が広がれば広がるほど、データを扱うことに伴うリスクは高まる」(シュワルツ氏)ことである。データから事業価値につながる知見を得ようとする過程では、データの種類や量に貪欲になっても不思議はない。その際に、利用が認められていないデータへアクセスし分析が実行できれば、プライバシー侵害など大きな問題に発展しかねないからだ。
近年はEUのGDPR(一般データ保護規則)に代表されるようにプライバシーへの意識が高まっている。シュワルツ氏は「『忘れられる権利(right for forgotten)』などは、これからのデータ分析において重要なパートを占めるようになる。それだけにデータマネジメントやデータガバナンスは、データ活用を推進するための重要な機能になる」と強調した(写真7)。