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部下をやる気にさせる3Mの「マネジメント2.0」とは

脳科学から導かれた“ニューロマネジメント”の極意

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年3月23日

どうすれば創造的な組織や企業になれるのか--。その解決に向け「脳科学」から導き出した独自の方法論で切り込んでいるのが、スリーエム(3M) ジャパン執行役員の大久保 孝俊 氏である。東京で2月に開催された「Manufacturing Japan Summit 2020」(主催:マーカスエバンズ)の開会基調講演に登壇し、「イノベーションを起こす組織のあり方と社員のマネジメント」について、独自の考えを披露した。

 「イノベーションが必要な時代」と言われて久しい。だが多くの企業が、その創出に苦しんでいるのが実状だ。そうしたなかスリーエム(3M)ジャパンの執行役員でコーポレート・プロセス・イノベーション及び品質保証担当を務める大久保 孝俊 氏は、さまざまな脳科学の論文から組織のマネジメントに生かせる要素を発掘して体系化し、自社の人材管理で実践してきた。

写真1:スリーエム(3M)ジャパン執行役員 コーポレート・プロセス・イノベーション及び品質保証担当の大久保 孝俊 氏

 同体系は「ニューロマネジメント」と呼び、それをまとめた書籍『3Mで学んだニューロマネジメント』(日経BP)を2017年に出版してもいる。

「マネジメント2.0」は社員の脳の活性化を促す

 大久保氏は、イノベーションをこう定義する。

「自社の持続的な成長のために、研究で得た知識を使ってお金を生み出す行為」

 その内容は、「顧客の満足を得るために実行する新しい仕事であり、通常業務とは異なる努力によって生み出されるもの」(大久保)とする。そこでのマネジャーの仕事は「社員が新しいアイデアを創造できる環境を作ること」(同)だ。

 大久保氏は、イノベーションを生み出すための手法を「マネジメント2.0」と呼ぶ。従来型の組織で実施されている「マネジメント1.0」は、「マニュアルと論理に基づいた、決まり切った仕事の進捗管理」(大久保氏)である。そこでは、「部下の仕事に間違いがあれば即座に論理的に修正を指示できた」(同)。

 これに対し「マネジメント2.0」は、目に見えづらいイノベーションの結果を十分に観察することをベースにしたマネジメント手法だといえる。

 たとえば上司が「新しいアイデアを考えて」と部下に依頼し、部下が笑顔で「わかりました。考えます」と引き受けたとしても、上司は心配でたまらない。「上司は部下の頭の中を覗けないため部下が何を考えているのかが分からない」(大久保氏)からだ。部下の考えが何らかの形になるまで、その仕事の良否を判断できず、評価も遅れてしまう。

 「マネジメント2.0」を成功させるためには普段から、部下が創造的、かつ意欲的でなければならない。そのためには、「社員の脳の活性化を促す環境・文化を築くことが重要になる」(大久保氏)。

 ただしマネジメント1.0が不要なわけではない。大企業のイノベーションにおいては、マネジメント2.0とマネジメント1.0を組み合わせる必要がある。大久保氏は「PDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルの限界をOODA(Observe、Orient、Decide、Act)ループを組み合わせ補う必要がある」と指摘する(図1)。

図1:イノベーション達成の秘訣(大久保氏のプレゼン資料より)