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COVID-19対策でフィリップスが考える支援策、「SOS」発するデバイスや医療用MaaSなど

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2020年5月1日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として提供するヘルステック・ソリューションをフィリップス・ジャパンが2020年4月28日、「Philips HealthTech Session in 2020」をオンラインで開催した。グローバルで増産する新型の人工呼吸器のほか、遠隔医療や遠隔ICUなど医療従事者を支援する製品/サービスなどを日本で展開する。

 個人のヘルスケアから医療現場での診断・治療、在宅ケアまでの領域で事業展開する蘭フィリップス。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として2020年3月22日には、医療機器の増産などを発表している。

 特に人工呼吸器に関しては、トップメーカーとしての生産体制を強化し、2019年まで週500台だった生産台数を2020年1月には週1000台、4月時点では週4000台にまで拡大した。成人から小児までが使用できる新型の汎用型人工呼吸器は全世界で週1万5000台を生産しており、必要な部品を確保するためのサプライチェーン強化には日本政府と共に取り組んでいるという。

 フィリップスは新型コロナウィルスに対応するために、グローバル対策チームと地域対策チームを立ち上げている。フィリップス・ジャパンの堤 浩幸 代表取締役社長は、「最も大事なのは医療サポートの継続だ。医療現場を支援するために当社の従業員も感染予防対策には万全の注意を払っている」とした(写真1)。従業員の安全と事業の継続性を確保することで、人工呼吸器の増産などを含む顧客ニーズに対応していく考えだ。

写真1:フィリップス・ジャパンの堤 浩幸 代表取締役社長

感染症状の別に必要な機器やサービスを提供

 そのうえで堤社長は、日本において展開している、あるいは展開予定の医療機関を対象にした支援策を説明した。新型コロナウィルス感染症の治療については、「重症化を防ぐためには、その前の段階で手段を明確にしタイムリーに手を打つ必要がある」(堤社長)との考えから、(1)無症状および軽症者滞在のホテル向け、(2)医療機関や特別施設での軽症・中等症対策向け、(3)重症者向けに分けて、それぞれの具体策を提示した(写真2)。

写真2:症状にあわせて提供されるソリューションの内容

無症状および軽症者滞在のホテル向け支援策

 酸素濃縮器や、血中酸素飽和度を計測するパルスオキシメーター、新型の汎用型人工呼吸器といった機器に加え、ナースコールのように使えるデバイス「SOSボタン Lite」やスマホアプリを使った遠隔問診などをパッケージにして提供する(写真3)。

写真3:ナースコールのように使える「SOSボタン Lite」

 SOSボタン Liteのベースになっている「SOSボタン」は救命・救急を目的にしたデバイスで、救命・救急補助用スマホアプリ「MySOS」(アルム製)と連携し、所在を近隣のスマートフォンに通知する。大阪の健都(国立循環器病研究センター)や中部大学の名古屋グランパスでの巡回などに利用されている。

 スマホアプリによる遠隔問診は、来院を希望する患者を対象に実施することで、症状の確認や優先順位の見極めなどが可能になる。時限的な規制緩和により可能になっている遠隔診療にも応用できる。