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スパイダーシルクによる人工内蔵製造などラトビアの医療系スタートアップが大阪に集結

アラトビア投資開発庁主催「バルト・メドテック・ブリッジ」より

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2025年5月16日

L.E.V.(Ekstraktu rupnica/エクストラクトゥ・ループニーツァ)

 化粧品やヘルスケア、栄養補助食品に使用するハーブの有効成分(API:Active Pharmaceutical Ingredient)や抽出物のメーカー(写真4)。1978年の創業で、フードテック、スキンケア、オーラルケアなど5つのメイン事業がある。

写真4:L.E.V.は化粧品やヘルスケア、栄養補助食品に使用するハーブの有効成分を製造する

PrintyMed

 生物の構造や機能を模倣するバイオミメティクス技術をベースにするメドテック系のスタートアップ(写真5)。「オルガノイド」と呼ばれる人の臓器の一部を再現できるチップを、天然素材のスパイダーシルクを用いて開発している。3Dプリントによる生体組織の生成に使用できる材料を安価に作る方法で特許を取得している。さまざまな医療用途向けた製品を開発しており、2029年に医療研究やクリニックに向けた最初の製品を発表する計画である。

写真5:PrintyMedは生物の構造や機能を模倣するバイオミメティクス技術を研究する

síbiotech(SISTĒMU INOVĀCIJAS /システーム・イノヴァーツィヤス)

 人の身体に作用する生理活性化合物を自然植物由来で抽出する技術を開発している(写真6)。コーヒー豆からカフェインを除去する際などに使われる「超臨界流体抽出技術」を使って、健康用途向け製品の生産を研究している。例えば、光バイオリアクターで培養した微細藻類をベースに、動脈硬化や血圧を下げる効果があるオメガ3製品を生産している。

写真6:síbiotechは生理活性化合物を自然植物由来で抽出する技術を開発する

 他にも、さまざまな天然素材を用いてビタミン剤など「スーパーフード」と呼ばれるサプリメントなども開発する。ラトビアでは病院と連携し新しい効果を持つ製品の研究も進めている。

Wogen Pharm

 ジェネリック医薬品メーカー(写真7)。小規模ながらEU(欧州連合)市場全体に向けて事業展開している。EUにおけるジェネリック医薬品に関する規制や法規に高い専門性を持つことから、EU域外の企業がEU市場へ参入する際のサポートやアプローチの提案なども提供する。

写真7:Wogen Pharmはジェネリック医薬品のメーカー

 今回の「バルト・メドテック・ブリッジ」から今後、どのような新ビジネスが始まるのかに注目したい。