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老朽化が進む日本の上下水道インフラ、解決策として米Autodesk日本法人が自社製品をアピール
埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故が象徴するように、日本の上下水道インフラの老朽化が表面化し、早急な対策が求められている。加えて頻発する水害や需要増、維持管理の人材不足といった課題もあり、従来手法では対応に限界も見え始めている。そうした中、米Autodesk日本法人がメディア向け説明会を開き、上下水道インフラの課題解決に対し自社製品群をアピールした。
「日本の高度成長を支えてきた社会インフラと、その維持体制が限界を迎えつつある。上下水道事業もその1つで、かつてない転換期を迎えている」--。3D(3次元)CAD(コンピューターによる設計)ソフトウェアなどを開発する米Autodeskの日本法人でWater Infrastructure シニアアカウントエグゼクティブを務める河村 正士 氏は、こう指摘する(写真1)。
日本の水道管の総延長は74万キロメートルで地球18周分。そのうち約22%法定耐用年数の40年を超えている。一方の下水道も総延長は49万キロメートルと地球12周分あり、約7%が耐用年数の50年を超えている。埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故などもあり政府は、老朽化した大規模な下水道の更新工事を2030年度までに全国で完了させたい考えだ。
グローバルに見ても水業界は「担当する人材の不足、施設や設備の老朽化、人口増による需要増、気候変動に伴う環境的圧力などを背景に大きな岐路に立たされている。例えば、2050年までに気候変動による洪水や高潮によって世界8億人が影響を受ける一方、水の需要は55%増えると見込まれている」(河村氏)という。
そうした課題の解決に向けては「DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが不可欠だ」と河村氏は強調する。Autodeskの調査『2025 State of Design & Make Report』では「水処理や排水などの生産性の向上や日常業務の効率化などにAI(人工知能)技術を利用したいとのニーズが見られる」(同)という。
上下水道の資産をライフサイクル全般で管理
水業界に対しAutodeskは、水インフラの計画から設計、建設、運転、維持管理までに対応するソフトウェアを提供しているという(表1)。「エンドツーエンドの水システムの資産管理」を掲げ、「各資産のライフサイクルにおいて最善の意思決定を下せるようにするのが目標だ」(河村氏)という。
対象業務 | 製品名 |
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計画 | 点群データのキャプチャ/モデリング「ReCap」、水理モデリング「InfoWater」、流体力学モデリング「InfoWorks」、雨水流出解析「XPSWMM」など |
設計 | 土木インフラ設計「CIVIL 3D」、プラント設計「AutoCAD Plant 3D」。排水システム設計「InfoDrainage」など |
建設 | プロジェクトマジメント「Autodesk Construction Cloud」、施工管理「Build」、建設数量拾い「Takeoff」など |
運用維持 | アセットマネジメント「Info360」、デジタルツイン構築「Tandem」、上下水道の監視・分析・予測「IWLive Pro」と「ICMLive」など |
自社製ソフトウェアに加え他社製品も提案する。GIS(Geographic Information System:地理情報システム)分野では米ESRI、ジェネレーティブデザイン分野では米Transcend、解析とシナリオ作成分野では米Optimatics、運用管理分野では豪VAPARと、それぞれ戦略的バートナーシップを結んでいる。