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【大阪・関西万博】北欧5カ国のスタートアップがディープテックを紹介
「北欧スタートアップデー@大阪・関西万博 ピッチイベント」から
ノルウェーのLoretta AIとNoMy
Loretta AIは、デンマーク工科大学の研究室で開発された高速皮膚原子間力顕微鏡(DAFM)による最高解像度の皮膚画像と、AI(人工知能)技術を使った独自のナノスケール分析を組み合わせて、正確かつ高速な肌分析技術を開発している(写真4)。起業場所は、コスメ関連スタートアップが集まるフランスのコスメティックバレーだが、北欧への進出も予定する。
自社技術を使い、皮膚を粘着テープで採取し郵便で送れば、詳細な分析結果を受け取れるサービスを提供する。1つの粘着テープで、肌バリア機能、肌年齢、水分レベルなど5項目が測定できる。
技術の応用先としては化粧品開発のほかに、アトピー性皮膚炎のような皮膚疾患を分析でき、治療法・治療薬などの開発への応用が考えられている。日本では皮膚科関連の製薬会社や化粧品メーカーを中心に他分野を含めて戦略的パートナーを募集している。
NoMyは、微生物の力を活用した発酵技術を用いるバイオテック企業で、食品加工プロセスで排出される副産物を高付加価値製品に加工する技術を開発する(写真5)。
主力商品の「マイコプロテイン」は、原材料内の糖分や脂肪分などを分解する過程で合成されるタンパク質を菌類で食材として生まれ変わらせている。高タンパク質ながら含有率は50%で、食物繊維も豊富に含む。発酵食品は日本でよく作られていることから今後の連携を期待している。
アイスランドのAlgalif
Algalifは、微細藻類から天然の抗酸化物質であるアスタキサンチンを製造する大手サプライヤーである(写真6)。同社ブランド品の「プレミアムアスタキサンチン」は、食品や飲料、栄養補助食品、スポーツ栄養製品などに使用され、2012年の創業から現在は業界リーダーの地位を獲得している。
天然抗酸化物質の市場は成長しており、競合はあるものの、アイスランドの特性を活かした栄養補助食品の販売において4000万ドルにまで成長させることを目指している。製造工程も環境に配慮し、天然水と100%グリーンな地熱エネルギーを使っている。
ソフトウェア関連企業やアワビの養殖技術を開発するスタートアップも
ピッチには、ソフトウェア関連企業も4社が登壇した(表1)。
国 | 会社名 | 概要 |
---|---|---|
スウェーデン | Nobon | カーボンクレジットの提供を含む気候変動対策資金を管理するプラットフォームの開発 |
Zaize | オンラインショッピングに向けたバーチャル試着室の技術を提供 | |
フィンランド | Hyperin | 来店客や業者といった情報を一元管理するプラットフォームの開発 |
アイスランド | Paxflow | 観光業向けにツアーやアクティビティなどをオールインワンで管理するツアー運営策の提供 |
また北欧ならではのスタートアップといえるのがオーロラアワビを養殖するアイスランドのAurora Alaboneだ(写真7)。アイスランドならではの北大西洋の溶岩で濾過された海水や地熱エネルギー、地元産の昆布などを活用しながら養殖技術「SustainCycle」を開発し、アワビの成育に最適な独自の垂直型養殖施設「BLUEHOUSE」を作り出している。
最近は日本でも養殖技術の開発が進んでおり、相互の技術交流が進めば、アワビ以外の養殖に応用できるかもしれない。