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【大阪・関西万博】日仏が協力し地域性や強みを活かしたスタートアップ連携を支援
「フレンチテック&イノベーションDAY」より

フランスのスタートアップ支援組織「French Tech」が2025年5月12日、大阪・関西万博のフランスパビリオンで「フレンチテック&イノベーションDAY」を開催した。「スタートアップ5カ年計画」を推進する日本は、フランスと協力関係にある。両国のキーパーソンが、スタートアップの連携事例などを交えながら、日本とフランスの連携状況などを報告した。
フランスには現在、34のユニコーンを含む2万5000超のスタートアップが起業し、100万人以上の直接雇用を生み出している。そうした動きを後押ししているのが、活動10周年を迎えたスタートアップ支援組織「French Tech」である。フランス全土と海外32の地域、日本を含む52カ国に拠点を持ち、世界有数のテクノロジーエコシステムを構築している。世界中のテック系イベントのほぼ全てにブースを出し、毎年1月に開かれるCESでは毎年3ケタのスタートアップを引率し話題になっている。
日本とは技術的イノベーションの支援で協力関係を築いている。「French Tech東京」には約600人が参加し、2025年5月に開催された「SusHi Tech TOKYO」にはスタートアップ9社が参加した。
日本のスタートアップ5カ年計画に向けては、2023年から2027年まで相互に協力する予定である。2024年5月にパリで開催されたスタートアップイベント「Viva Technology」において「日仏スタートアップ及びイノベーション協力に関する共同声明」に署名している。
地域による文化の違いがイノベーションを生む
今回の「フレンチテック&イノベーションDAY」において、オープニングに登壇したイルード=フランス地域圏知事のヴァレリー・ペクレス氏は「日本とフランスはソフトパワーで相互支援関係にあり、日本の自治体との協力関係も強めている」と話す(写真1)。
実例としてペクレス氏は、2024年10月に開業した名古屋市のスタートアップ育成拠点「ステーションAi」と、パリにある世界最大のスタートアップ支援拠点「StationF」の連携を挙げる。
続くパネルディスカッションに登壇したフレンチテック東京代表のオード・モラス氏は「フランスは地域で異なるテクノロジーが発展している。日本でも同様の動きがあることに注目している」としたうえで「フレンチテック東京では、日仏それぞれの強みを活かしたシナジーを重視したエコシステムを構築しており、大阪など他の地域でも拠点を設けたい」と話す(写真2)。
経済産業省イノベーション創出新事業推進課の桑原 智隆氏は「イノベーションのキードライバーになるべく、協力活動ではアンメット(未達成)な社会課題に注目しながら経済でも成果を出すよう二兎を追う」と力を込める。「ローカルなエコシステムも重視しながらスケールアップを続けることが大事」(同)として、スタートアップ全体を支援する「グローバルスタートアップ エキスポ」を万博会場で2025年9月の17日と18日に開催する。
中小企業基盤整備機構の石井 芳明氏は「テック分野はポテンシャルがあり研究開発力に加え、文化の違いといったところからもイノベーションが生まれるだけに、地域を拠点とするスタートアップは大事だ」と話す。ただ「インパクト投資は重要だが資金調達やビジネス化に苦労しているスタートアップが少なくない。マーケティングや人材獲得を日仏で支援したい」とする。
フランス第2の都市圏であるリヨンで都市戦略組織「ONLY LYON」の部門長を務めるプリスカ・ダレ氏は「リヨンはパリと異なるアイデンティテイを活かして大企業を呼び込み、ディープテックと製造業を結びつけ、地元の投資家や銀行を紹介するなどしている」と説明。バイオテクノロジーやライフサイエンス分野の中小企業が集まるバイオディストリクトもあり「日本からの関心が高まっているだけでなく、実際の進出も始まっている」(同)という。