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【大阪・関西万博】ディープテック系スタートアップの世界進出を後押し

「Global Startup EXPO 2025」より

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2025年12月29日

VCや各国領事館の代表らがディープテックへの取り組みを紹介

写真5: MJOLNIR SPACEWORKS(ミヨルニア・スペースワークス)はロケットの大量生産技術を開発する

 世界でビジネス化が急速に進む量子技術も出展された。渋谷を拠点にするblueqat(ブルーキャット)は、開発中の量子AIを基盤にしたクラウドサービスを実現するための半導体量子コンピューターを出展した(写真6)。

写真6:blueqat(ブルーキャット)は半導体量子コンピューターのモデルを展示した

 また、Clean Planet(クリーンプラネット)は独自の量子水素エネルギーを開発。LQUOM(ルクオム)は安全な量子インターネットの実用化を目指している。いずれも日本発で世界に向けた事業化に挑んでいる。

 展示会と並んで37のセッションが開かれた。海外の主要エコシステムのプレーヤーなどから100人以上が登壇し、グローバル市場や投資の現状に関する情報を共有した。ステージピッチにも100社以上のスタートアップが登壇したほか、登壇後は直接のフィードバックやマッチングの機会も設けられた(写真7)

写真7:展示会と並んで37のセッションが開かれた。同時通訳代わりにAI翻訳システムが利用されていた

 プログラムは幅広く、ビジネスに関する話題では、ディープテックへの投資を専門にするVC(Venture Capital)の代表が加熱するAI投資の行方や成長分野について議論したり、日本市場への進出を発表したりした。

 例えば、元Googleの研究者たちが日本で設立したSakana AI(サカナAI)に投資するVC米NEA(New Enterprise Associates)と、米Salesforce、米Open AIの投資担当者が登壇したセッションでは、投資の決め手や、今後の開発に求めること、アントレプレナーシップ教育や研究成果をビジネスにつなげる方法などについて意見が交わされた(写真8)。

写真8:著名なAIスタートアップなどに投資するVCが登壇したセッションの様子

 関西をテーマにしたセッションでは、在大阪オランダ総領事館や在大阪スイス領事館内に開設された「Swissnex(スイスネックス)」の代表らが、関西とのビジネスの関わりや、各国から日本進出を目指すスタートアップを紹介した(写真9)。

写真9:各国領事館の代表は関西とのビジネス連携状況を紹介した

万博会場外でもサイドイベントが複数開催

 GSE2025が開催された週は「スタートアップウィーク」として、万博会場以外にも、さまざまなジャンルをテーマにしたサイドイベントが大阪・梅田を中心に複数開催された。グローバルスタートアップとのビジネスマッチングを支援する「Tech Osaka Summit」が、その1つだ(写真10)。

写真10:Tech Osaka Summitなどのサイドイベントが万博会場外でも多数開催された

 ほかにも、Web3やFintech、Ethereumをテーマにした国際イベントの「EDCON」、海外スタートアップの大阪・関西進出をサポートする「OSAKA SPRIGBOARD」、米NVIDIAが協力したAIスタートアップの交流会「Global AI Startup Night」などが開かれた。

 ディープテック関連では、iPS細胞技術を中心に再生医療に力を入れる未来医療のインキュベーション施設「中之島クロス」で「U.S.– Japan Healthcare Connection Executive Symposium 2025」が開催された。AIと医療をテーマに日米間の協力が議論され、基調講演にはノーベル生理学・医学賞を受賞した山中 伸弥 博士が登壇した。

 大阪では万博終了後も、中小企業やスタートアップが集まるイベントが複数開かれ、技術協力や経営連携、人的交流の場になっている。今後も、スタートアップを支援する国際イベントを今後も継続して開催される予定だ。こうした取り組みが定着するのかどうか動向を見ていきたい。