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アフターサービスでのアセット管理や協業開発のためのSaaS、米PTCが発表

森 英信(アンジー)
2026年6月29日

SDVや複雑化するパワートレインの開発をALMが支える

 既存製品で、PTC Nextでも関心を集めたのがCodebeamerだという。PTC シニアバイスプレジデント ALMプロダクトマネジメント担当のクリストフ・ブラオイクレ(Christoph Braeuchle)氏は「PLE(Product Line Engineering:製品系列開発)、構成管理、AI技術の3領域に大きな機能強化を加えた」と説明する(写真2)。

写真2:PTC シニアバイスプレジデント ALMプロダクトマネジメント担当のクリストフ・ブラオイクレ(Christoph Braeuchle)氏

 特にAI領域では、セマンティック(意味理解)検索、要求仕様の品質自動評価、テストケースの自動生成による網羅性確認などにAIアシスタント機能を投入した。「エージェント型AIを見据えたMCP(Model Context Protocol)サーバーの実装も最終段階にある」(ブラオイクレ氏)という。

 ALMの自動車メーカー顧客の事例としてブラオイクレ氏が挙げるのが、独BMWとマツダだ。

 BMWはPTC Nextの数カ月前、従来のALM環境を完全に停止し、要件管理からトレーサビリティの確保までをCodebeamerに全面移行すると発表した。ブラオイクレ氏は「レベル3の自動運転を含むSDV(Software Defined Vehicle)開発や、EV(Electric Vehicle)・HEV(Hybrid Electric Vehicle)・内燃機関を横断するパワートレイン開発の基盤にしている」と説明する。

 マツダは、SDV開発にCodebeamerを採用した。まずは、仕様側の縦方向(垂直方向)でのトレーサビリティを確立し「現在はパワートレイン領域などへ水平展開を進めている」(ブライオクレ氏)状況だ。同社エンジニアは「業務時間の最大6割を情報探索に使っていると聞いた」とブライオクレ氏。その探索負荷を下げるために、セマンティック検索機能の適用が期待される。

 PTC日本法人の担当コンサルタントによれば「日本の自動車OEM(完成車メーカー)のうち、Codebeamerを検討していないのは2社のみ。残りはすべて本格適用に入っているか、それに向けた検証を進めている段階」だという。

 中国メーカーが企画から量産までを36カ月程度で回す速度に対し、日本勢が新製品のQCD(Quality:品質、Cost:価格、Delivery:納期)をどこまで改善できるかが問われる。そこでは「開発・製造・サービスまでを横断するトレーサビリティが鍵になる」(担当コンサルタント)との見立てを示す。

 ただし、AI技術にすべてをゆだねない姿勢は、Codebeamerでも一貫している。ブライオクレ氏は「最終的に安全な車を出すのは自動車メーカーの責任であり、人の判断や関わりはどうしても必要になる」とみる。

 神谷氏も「ソフトウェアは最もAI技術が貢献できる領域だが、エンジニアリングの現場では最初のチェックはまだ人が担っている。完全な自動化はまだ先だ」との見解を示し、当面はAI技術と人とが並走する開発スタイルを進める考えを示した。