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デジタルトランスフォーメーションの司令塔はCIOかCDOか?
SAP NOW、CIOとCDOによるパネルより
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向け「CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)」を新たに置く企業が増えている。一方で、CIO(Chied Information Officer:最高情報責任者)」がDXに取り組む企業もある。DXの司令塔はCIOかCDOなのか。東京・港区で2018年8月2日に開かれた「SAP NOW」(主催SAPジャパン)において、CIOとCDOが登壇したパネルディスカッションから、その内容を紹介する。(当日のディスカッション内容を再構成した。文中敬称略、所属・肩書きは開催当日時点のもの=DIGITAL X編集部)
SAPジャパンの年次カンファレンスである「SAP NOW」の2018年のテーマは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。その最後を締めくくるセッションとして開かれたパネルディスカッションでは、「新時代のデジタル司令塔はCIO?CDO? 攻めの両輪イノベーション」と題して意見が交わされた。
パネラーに登壇したのは、住友化学 理事IT推進部の土佐 泰夫 氏と、住友商事IT企画推進部長の山田 明義 氏、SOMPOホールディングス グループCDO 常務執行役員の楢崎 浩一 氏、ランドログCDOの明石 宗一郎 氏の4人。モデレータをSAPジャパン ソリューション統括本部長の森川 衡 氏が務めた。
SAPジャパン 森川 氏(以下、森川):みなさんのITシステムとの関わりと、現在の取り組みから教えてください。
住友化学 土佐氏(以下、土佐):私が率いるIT推進部は、2016年4月の組織再編により今の名称になり、最新ITを活用してイノベーションを推進するというミッションが加わりました。大学時代の専攻はヒューマンサイエンスでしたが、新卒でシステム部に配属され、社内SEを10年間経験。その後、財務部を経て、システム部門に戻り、eビジネスやSAPのERP(統合基幹業務システム)の導入などを経験してきました。今は、デジタルトランスフォーメーション(DX)をけん引しています。
住友商事 山田氏(以下、山田):私は日本でインターネットが商用化された年の入社です。専攻はコンピュータサイエンスです。情報システム部に配属され、メインフレームやテレックスの時代から現在のクラウドやSNS(ソーシャルメディ)の時代まで、システムの移り変わりを目の当たりにしてきました。住友商事は総合商社ですが、現在は事業投資がメインになり、多くのグループ会社を抱えています。IT部門もグループ会社のIT支援や、M&A(企業の統合・買収)におけるデューデリジェンスもサポートしています。
SOMPOホールディングス 楢崎氏(以下、楢﨑):新卒で入社したのは三菱商事で、情報産業グループ配属され、ITソリューションの営業を担当していました。1997年に米シリコンバレーの拠点に送り込まれ、2000年に現地のスタートアップ企業に転職しました。以後、米国のスタートアップ4社の経営などに携わり、永住権も取得しています。2年前から現職に就き、IT視点ではなく、スタートアップの手法などを使って、SOMPOホールディングス全体にデジタルトランスフォーメーションを起こすことがミッションです。
ランドログ 明石氏(以下、明石):2017年10月16日にランドログが設立された際にCDOに就きました。新卒でコンサルティング会社に入社、2016年にSAPジャパンに入社したことから、コマツ(小松製作所)とのジョイントベンチャーを作るプロジェクトに参加することになりました。現在は、オープンエコシステムやオープンイノベーションを建築業界に起こそうという人たちと新規ビジネスの創設に携わっています。