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あいおいニッセイ同和損保、自動運転時代の保険商品をビッグデータ解析で実現

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2020年10月28日

テレマティクス自動車保険が事故を20%軽減

 テレマティクスを活用した新サービスとして、梅田氏は5つの例を挙げる(図1)。

図1:テレマティクスを利用したサービスの例

 1つは、カーナビゲーションと連動した情報提供だ。目的地がゴルフ場であれば、ゴルファーのための保険を案内したり、走行ルート上に事故多発地点があれば、それを事前に案内して安全運転に気をつけてもらうといったサービスである。

 2つ目は、安全運転診断・スコアサービスだ。これまで、安全運転に自信があるドライバーがあいても、その度合いを測る指標がなかった。走行データを大量に取得し解析することですでに、「客観的な指標の提供が可能になっている」(梅田氏)と言う。

 3つ目は、危険運転時注意喚起サービスである。速度超過や急発進、急ブレーキなど、事故に発展しそうな危険運転の兆候をつかんだ際に、ドライバーにリアルタイムに知らせる。これも実現済みである。

 4つ目が、高齢ドライバーの安全運転支援サービスだ。「例えば逆走しそうなときに注意を促したり、危険な運転が増えた場合は運転を控えることを推奨したりするサービスの提供も考えている」(梅田氏)

 そして最後は、事故時のアウトバウンドコールサービス。車に大きな衝撃があれば、事故が起こったと想定できるため、「保険会社の側から契約者に電話をかけることで、よりタイムリーに適切なサービスが提供できる」と梅田氏は語る。

 こうしたテレマティクス自動車保険は実際、どのくらい安全に貢献しているのか。テレマティクス自動車保険と従来型保険で事故の発生頻度を比べると、テレマティクス自動車保険は「事故を20%低減できている」(梅田氏)という。

図2:テレマティクス自動車保険による事故の低減効果

 さらに、あいおいニッセイ同和損保では、安全運転に向けて2種類の「運転診断レポート」を提供している。1つは、運転のたびに走行ルートを示し、速度超過や急ブレーキなどの見える化をするレポート。「毎日走る通勤ルートであっても、気づかないうちに危険な挙動をしている箇所や、スピードを出しすぎてしまう箇所を客観的に把握でき、安全運転につなげる効果がある」(梅田氏)

 もう1つは、ドライバーの運転傾向に合わせて具体的なアドバイスをするレポートだ。これらの運転診断レポートを見ている人と見ていない人では、「約15%の事故発生頻度の差が出た」と梅田氏は話す。