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IoTのデジタル変革における可能性と活用【第6回】

大和 敏彦(ITi代表取締役)
2018年2月19日

 大型買収も盛んだ。先の統計数値とは直接結びつかないが、ソフトウェアプラットフォームでは、米Cisco SystemsのJasper Technologies、米MicrosoftのSolair、KDDIによるソラコムといった買収がなされた。ホームに関しては、米Googleのnest買収、ヘルスケアで、フィンランドNokiaのWithings買収、コンポーネントに関しては、SONYのAltair Semiconductors買収、SoftbankのARM買収など、業界で大きなニュースになった案件も多い。

 ソフトウェア/ハードウェアのプラットフォーム、セキュリティなどIoT構築ソリューションの分野では、新分野のカバレッジやトータルな機能を提供するための買収が進む。一方、ホームやヘルスケア、フィットネス、インダストリアルの分野では、新しいビジネスモデルによって競争力を実現しIPOしたベンチャーの比率が高い。

 統計では10位以下になっている農業や電力、リテール、教育などでもIoTの成功事例が増えている。つまり、いずれの業界においても、IoTの可能性と活用を、今検討することが経営にとっては重要である。

組み合わせ要素が多いIoTはセキュリティ対策も重要

 IoTをビジネスに活用するためには、図1のようなトータルシステムが必要になる。デバイス、ネットワーク、クラウド(IaaS:Infrastructure as a Servie/PaaS:Platform as a Service)、アプリケーションである。目的に応じて、これらの要素を選択し統合することでIoTシステムが完成する。使用内容によってデータ量や応答時間などの要件が明確になる。さらに、どのような場所で使うのかによってデバイスやネットワークの選択肢が決まってくる。

図1:IoTの構成要素と技術要素

 目的や要件を明確にしてデバイス、ネットワーク、クラウドを選択して統合していかなければ、コストやパフォーマンスを最適化したシステムにはならない。統合も簡単ではなく、既に統合されているプラットフォームの活用はIoT活用の重要な選択肢となる。

 組み合わせによってシステムを構築しなければならないことは、セキュリティ対策の観点でも課題になる。セキュリティに問題があると、攻撃によってIoTの仕組みがうまく機能しないだけでなく、社内システムへの侵入や、DDoS攻撃の踏み台、あるいは乗っ取りのようなリスクを抱えることになる。

 これらはIoTの場合、データ漏えいにとどまらず、事故の原因になる可能性があるだけに対策は重要だ。それぞれのIoT要素のセキュリティ、すなわちアプリケーション、クラウド、ネットワーク、デバイスそれぞれについて対策を採らねばならない。同時に、それぞれの要素を接続する部分を含めた全体のセキュリティに関しても考慮が必要になる。設計・製造、設置、保守・運用のそれぞれの実施段階におけるセキュリティリスクへの対応も必要だ。

 IoTリスク検討の重要性から、総務省は2017年10月に『IoTセキュリティ総合対策』を公表した。脆弱性対策の体制、研究開発、人材育成など具体的施策を盛り込んでいる。これらのリスクを軽減するためにも信頼できるプラットフォームを活用するのが強力な解であるが、プラットフォーム選択にも機能、拡張性、柔軟性、信頼性、コストなどの点での検討が必要となる。