- Column
- 大和敏彦のデジタル未来予測
製品のサービス化とシェアリングエコノミーのサービス化の共通点と相違点【第16回】
シェアリングエコノミーによって広がるサービス化
一方、顧客の意識変化が主体になって広がってきたのがシェアリングエコノミーだ。シェリングサービスは、プロダクト、サービス、人材などを共有し、利用者が必要な時に必要なサービスを活用できるモデルである。米Airbnbに代表される不動産やスペースのシェアリング、米Uber Technologiesに代表される移動手段や、モノや人材、スキル、お金のシェアリングなどに広がっている。
こうしたサービス化は、利用者と提供者、それらをサービスとして仲介する業者がつながることで実現される。インターネット、クラウド、スマートフォンの普及により、情報、モノ、人材を効率的に管理・運用できるようになった。結果、サービス事業者は、統合管理されているデータベースに、どこからでもアクセスできる単一アプリケーションを提供することで、利用者と提供者のマッチングを図っている。
米CB Insightsのデータでは、2016年時点で世界中では既に30社を越えるサービス業者がユニコーンに成長している。国別では、中国が12社、米国が11社、英国が4社になるなど、中国と米国での活用事例が世界に広がっている。
シェアリングサービスのベースとなっているのが顧客意識の変化であり、それを可能にしたテクノロジーの変化である(図2)。特に顧客意識の変化は、(1)「持つ」から「使う」への変化と(2)データに基づく評価と信頼の影響が大きい。
(1)「持つ」から「使う」への変化
便利さやコスト意識、環境保護意識から、顧客が「持つ」ことよりも「使う」ことを選択するようになった。便利さのためには、いつでも、どこでも簡単に、利用者が希望のモノやコトを、価格などの条件から選べることが重要である。民泊大手の米Airbnbを例として見てみたい。
Airbnbは、プライベースペースを共有するためのマーケットプレイスを提供し、借り手と貸し手を結びつける。2008年に創業し、扱うスペース数は、2009年の2万件から2017年の100万件へと増加した。それに伴い、収入も2011年に2000万ドルら2017年に$26億ドルへと急成長している(米Statista調べ)。
規模が大きくなると選択肢が増える。Airbnbの出現と急成長は、既存のホテルや予約サービスのような宿泊サービスの業界に市場破壊と変革を起こした。