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デジタルネイティブ企業になるためのテクノロジー活用を【第18回】

大和 敏彦(ITi代表取締役)
2019年2月18日

ビッグデータ解析:ネットワークの広がり、センサーの進化によってクラウドへのデータ収集・蓄積が可能になった。そのデータをビッグデータ解析、あるいはAI/機械学習によって活用することで、データの価値が上がりビジネス展開が可能になる。

 一方、EU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)、中国のインターネット安全法といった規制への対応やセキュリティ対策も検討課題になる。何をビッグデータとして蓄積し、そのデータをどう活用するかの検討が必要である。

ソーシャルメディア:今や70%近い人が使っているとされる。ビジネスでの活用は、仕事やコミュニケーションの方法やワークスタイル改革を進め、生産性向上や効率化を実現する。

変革の加速化のキーワードは「Intelligent」「Digital」「Mesh」

 これらのプラットフォームを積極的・効果的に活用することによって、デジタルネイティブ企業としての基盤を作ることができる。プラットフォームに加え、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI、AR/VRなどのデジタルテクノロジーを“イノベーションアクセラレーター”に位置付け、会社のビジネスモデルやプロセス、仕組み、働き方の再構築に活用しなければならない。

 米調査会社のガードナーは『Gartner Top10 Strategic Technology Trends for 2019』において、トレンドを示すキーワードとして「Intelligent」「Digital」「Mesh」を挙げる(図1)。

図1:米ガードナーの『Gartner Top10 Strategic Technology Trends for 2019』

Intelligent:AIが既存のテクノロジーと組み合わさり、既存の製品/サービスの中に入ることによって新しい活用分野を生み出す。業務やプロセスの自動化や自律化、チャットや会話などUI(ユーザーインタフェース)の変革、セキュリティ応用など目的を明確にしたさまざまな活用が広がっている。

 自動運転に関しても、米ウェイモは56万7000キロメートルの公道走行試験を実施しており、2018年12月には自律走行タクシーによる配車サービスを開始している。スマートスピーカは、米国では20%の家庭に広がっている。

Digital:デジタルと実際の世界の組み合わせによって新しい大きな需要を生み出す。センサーや画像認識技術の広がり、機械学習によるコンピューター自身の学習など、テクノロジーの進化によりデジタル化できる対象が格段に広がった。

 そこで生まれるデジタルデータを元にモデル化し、そのモデルに基づく解析や自動化が可能になり、ビジネス変革や新ビジネスへの活用が広がっている。リアルな世界をコンピューター上で再現する「デジタルツイン」も、より複雑な対象の開発や運用への応用が進んでいる。

Mesh:人と、ビジネス、機器、コンテンツ、サービスがつながり、多層のコネクションを実現していく。1対1から、1対nのコネクションも簡単に実現できる。人や人、人とモノ、モノとモノをつなぐだけでなく、ビジネスの協業や、データ共有、ソフトウェア開発の協業、ソーシャルエコノミーなどのつながりがビジネスの仕方やビジネス自体を変え、新しいビジネスやビジネスチャンスを実現する。

 分散処理技術であるブロックチェーンの活用も広がりつつある。5G、認識技術、センサー、AR/VRとの組み合わせによって、よりさまざまなコネクションと応用が広がる。