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- 大和敏彦のデジタル未来予測
MLBにみるデータ活用によるビジネス変革のあり方【第77回】
MLBのデータ活用法は企業のDXにも参考に
データ活用は他のスポーツでも広がっている。例えばバレーボールでは、アナリストがデータを収集・分析し効果的な戦術の立案・実行を支援している。サッカーやバスケットボールのNBA(National Basketball Association)やアメフトでは、GPS(全地球測位システム)デバイスを使ったデータの収集と分析、AI技術の活用などにより、コーチが気づかない戦略分析や選手のコンディショニングの把握などが実施されている。
上述してきたようにMLBは、データを活用してチームの戦力強化やファンの獲得、新しいビジネスチャンスの追及などに取り組んでいる。そのモデル化やテクノロジーを活用したデータ収集と活用などは、企業のDXにも参考になることが多い。
データ活用は、企業の意思決定や戦略の立て方を根本的に変える可能性を秘めている。データに基づく可視化や、収集したデータの分析による問題点の洗い出しや改善点の発見、さらにはAI技術や予測アルゴリズムを使った予測や自動化などが可能になる。
さらに高度なデータ活用を進めるには、企業やビジネスのゴールを見直し、そのゴールを実現するためのモデルの構築が必要にある。これまでの仕組みや仕事の仕方を変えることが成長につながるのである。
大和敏彦(やまと・としひこ)
ITi(アイティアイ)代表取締役。慶應義塾大学工学部管理工学科卒後、日本NCRではメインフレームのオペレーティングシステム開発を、日本IBMではPCとノートPC「Thinkpad」の開発および戦略コンサルタントをそれぞれ担当。シスコシステムズ入社後は、CTOとしてエンジニアリング組織を立ち上げ、日本でのインターネットビデオやIP電話、新幹線等の列車内インターネットの立ち上げを牽引し、日本の代表的な企業とのアライアンスおよび共同開発を推進した。
その後、ブロードバンドタワー社長として、データセンタービジネスを、ZTEジャパン副社長としてモバイルビジネスを経験。2013年4月から現職。大手製造業に対し事業戦略や新規事業戦略策定に関するコンサルティングを、ベンチャー企業や外国企業に対してはビジネス展開支援を提供している。日本ネットワークセキュリティ協会副会長、VoIP推進協議会会長代理、総務省や経済産業省の各種委員会委員、ASPIC常務理事を歴任。現在、日本クラウドセキュリティアライアンス副会長。