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米NY発、デジタルトランスフォーメーションに必要な3要素とは【第9回】

鍋島 勢理(CDO Club Japan 理事、広報官、海外事業ディレクター)
2018年6月4日

CDO Club Globalが2018年5月30日(現地時間)、米ニューヨークにおいて「CDO Summit NYC」を開催した。4度目の開催となる今回は、米国企業や行政組織におけるデジタルトランスフォーメーションをリードし、デジタル戦略を担う人々、約150人が一堂に会した。CDO Summit NYCのエッセンスをお伝えする。

写真1:CDO Summit NYCの会場の様子

重要なのは”肩書”ではなく”ファンクション(果たすべき役割)”

 今回、CDO Summit NYCに集まった人々の肩書き(タイトル)は実に多様だった。CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者またはChief Data officer:最高データ責任者)は当然ながら、CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)やCMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)などである。

 たとえば、スペシャルキーノート(特別基調講演)に登壇した、化学および製薬大手の独バイエルに勤めるSaskia Steinacker氏のタイトルは、「Global Lead Digital Excellence」である(写真2)。同氏は、いくつかの部門にまたがるデジタルトランスフォーメーションをマネジメントしている。

写真2:独バイエルのGlobal Lead Digital Excellenceを務めるSaskia Steinacker氏(右)と米Dun&Bradstreetの専務であるAnthony Scriffignano博士

 ちなみにバイエルは、種苗最大手の英モンサントの買収を計画している。そしてCDO Summit NYC前日の2018年5月29日(現地時間)、米反トラスト当局が一定の条件の下、その買収を承認したところである。

 また、パネルディスカッションに登壇した豪QBE Insurance GroupのGina Papush氏は、「CDO(Chief Data Officer)」と「CAO(Chief Analytics Officer)」とを兼任している。

 そうした肩書に対する筆者の混乱を見透かしてか、基調講演にも登壇した信用情報大手の米Dun&Bradstreetの専務であるAnthony Scriffignano博士は、筆者とのインタビューで「重要なことは”タイトル(肩書)”ではなく”ファンクション(果たすべき役割)”である」と指摘した。

 日本でも最近、急速に進むデジタル化の流れを受けて、CDOなどの役職を置く人事が急増している。恐らく2018年度下半期から2019年度にかけて、その数は増加するだろう。一方で、CDOの役割を担いながらも、CDOの肩書を持たない方も少なくない。CIOがCDOを兼ねる組織もある。

 Scriffignano博士の指摘にあるように、デジタル化を推進する人々が十分に機能するためには、人材を配置したり組織におけるデジタルカルチャーを醸成したりすることが重要なのであろう。