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ヘルスケアの分析:その1=ストレス・肥満・フレイルを防ぐ飲み物・朝食のモデル【第30回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2020年1月27日

睡眠による予防と食べ物

 ストレスの要因はさまざまあるが、誰にでも共通に起こる要因の1つが睡眠不足である。「寝る」ことは、疲れをとるための最善策であるだけに、睡眠不足が続けばストレスも増えていく。睡眠不足が蓄積すると、さまざまな病気になりやすい。精神疾患、高血圧、肥満、がんなどのリスクが高まってしまう。

 ただ現代社会では、十分な睡眠を取れない場合も多いだろう。どうしても十分な睡眠が取れないときに疲れを除くには、暫定的な対策としては、食べ物で代替するしかない。疲労回復には、鶏のムネ肉(イミダゾールジペプチド)が有効とするレポートがある。

運動による予防と食べ物

 寝たきりになる原因の1つは歩行中の転倒で、原因の10%程度が占める。転倒の予防には運動が欠かせない。たとえば、早歩き・柔軟・屈伸が役に立つ。

 早歩きは、肥満に対しても効果的だ。肥満は背中にぜい肉がつくことが1つの目安である。ぜい肉がつきはじめたら、痩せる努力がいる。ただ、単純にダイエットや運動をしても、あまり効果がない。科学的な痩せ方が必要である。

 太った人は運動しても痩せないと言われる。運動する過程で喉が渇くため、必要以上の水分を採り過ぎるからだ。分析視点でみれば、痩せるには2つのプロセスが必要なことが分かる(図2)。

図2:痩せるための「2つのプロセス」のイメージ。両プロセスがそろわないと痩せない

プロセス1 :脂肪細胞に蓄積された脂肪を脂肪酸に“分解”する
プロセス2 :脂肪酸をエネルギーとして“燃焼”する

 プロセス1の“分解”に効くのが運動だ。だが、それだけでは元に戻ってしまう。運動に、プロセス2の燃焼プロセスが加わらなければならない。そこに効果的なのは羊の肉(成分はL-カルニチン、以下同)だ。羊の肉が苦手な人はカツオが良い。いずれも脂肪を燃焼するのに良いと言われる。

 プロセス1で運動嫌いな人は、脂肪を使われやすく分解するものとしてトウガラシや、緑茶(カテキン)、しじみ(L-オルニチン)、ショウガが有効であることは知っておいた方がいい。運動をする人なら、運動後に羊の焼き肉でも食べればいいだろう。

 最新の食事に関するレポートでは、お腹一杯ではなく80%程度がいいというものがある。昔から“腹八分に医者いらず”という言葉があるが、健康に関する諺通りであることが、科学的に解明され始めているわけだ。

 ウエスト周りが気になる人は、腹に力を入れたまま、少し歩幅を広げるか、早歩きするのがいい。意識すると改善できる。早歩きで脚を鍛え、腿(もも)を強化することが健康への近道のようだ。

 欧米人はBMI(ボディマス指数。体重と身長の関係から算出される肥満度を表す体格指数)が30以上だと「肥満である」とされる。一方、東アジアを中心としたモンゴロイド(黄色人種、東洋人)はBMIが25以上30未満を「軽度の肥満」とするが、健康への影響が大きい危険な状態と判断される。糖尿病・高血圧・心筋梗塞・脳梗塞・がん・認知症のリスクが高くなるからだ。

 モンゴロイドは、食べ物から摂取したエネルギーを皮下脂肪ではなく、内臓脂肪として貯めやすい。そのため、欧米の食事や生活スタイルが、そのまま日本人に通じるわけではないので要注意である。