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ヘルスケアの分析:その1=ストレス・肥満・フレイルを防ぐ飲み物・朝食のモデル【第30回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2020年1月27日

データ分析の対象はビジネスに限定されない。衣食住や人間関係、医療・健康、お金など何でも当てはまる。第25回から第29回では、お金にまつわる話題を分析してきた。今回からは、ヘルスケアにまつわる話題を分析する。筆者は平成元年(1989年)以後の31年間、朝・昼・夕の食事のメニューと体調をノートに記録している。ここで述べる内容はすべて、そのデータを筆者が分析した結果と、ヘルスケアに関して実施したコンサルティングに基づくものであることをお断りしておく。

 『ビッグデータの法則:その4(第23回)』で、格差が広がっていることを解説した。この格差が健康に及ぼす影響は大きい。格差による心理的ストレスが身体の不調を引き起こすからだ。ビジネスでもプライベートでも健康は優先度が高い。

 ヘルスケアに関する話題は事欠かない。だが3本柱は「治療・介護・予防」である。働き盛りの人であれば、不安なものは「ストレス・肥満・フレイル(健康な状態から要介護へ移行する中間の段階)」の3つであろう。

 フレイルについて少し説明しておこう。これは、加齢に伴い筋力が衰え、疲れやすく、家に閉じこもりがちになるなど、年齢を重ねたことで生じやすい衰え全般を指す。自身のフレイルもあれば、親族のフレイルもある。

 フレイルの症状には、肉体的・精神的・社会的の3要素がある。一般的にフレイルは、年齢で言えば65歳以上が対象になる。ただし、人は未成年から大人になる過程では似たような経緯をたどるものの、老いていく過程は千差万別であり、老いの年齢は定義が難しい。最近は中高年のひきこもりも話題だが、これは社会的なフレイルの属性で「フレイル予備軍」とも言えるだろう。

 フレイルに類似する言葉に「未病」がある。漢方に由来したもので、健康と病気の間を指す(図1)。日常生活にさほどの支障があるわけではないが、心身が不調を抱える状態だ。ストレスや肥満も未病につながる原因である。フレイルは未病の1つの形ともいえる。

図1:「未病」は病気手前の状態

病気の予防における5大アセット1つ“食べ物”に注目

 表1に、ストレス・肥満・フレイルという病気手前の状態と、自覚症状・他覚症状・生活習慣の関係を示す。これは筆者が過去にフレイルを中心にヘルスケアで分析した結果の一部を最新版に変えたものである。

表1:病気手前の「ストレス・肥満・フレイル」と症状や生活習慣の関係性。「●」が関係性がありそうな項目
内容ストレス肥満フレイル
【自覚症状】
疲れやすい
肩こり
腰が痛い
ひざ痛
頭痛
筋力の低下
体重増加
体重減少
息切れ
目のかすみ
腹の周りのぜい肉
肩が上がらない
イライラする
アレルギー
めまい
・・・
【他覚症状】
加齢臭がする
姿勢が悪い
老けた
背中にぜい肉がついた
・・・
【生活習慣や性格】
歩くのが遅い
甘いものが好き
運動不足
人に会うのが面倒
やる気がない
せっかち
タバコを吸う
早食い
睡眠不足
日光浴の不足
・・・