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ヘルスケアの分析:その2=健康食品・サプリによる予防【第31回】
健康食品・サプリに含まれる成分はさまざま
サプリには、さまざまな成分が含まれている。健康食品会社は売り上げの10%程度を広告宣伝費に使っており、サプリの成分を広告で見たり聞いたりする機会は多い。だが多くの一般消費者にすれば知らなくて当たり前なので、ここでまとめておこう。聞いたことはあるが意味までは知らないということは、よくあることだ。
成分の用語を調べても、化学式を使った専門的な解説はあっても、わかりやすい説明は少ない。そこで、健康食品に関する広告等を中心にテキストマイニング(第15回参照)してみた。その結果が表2である。一番多かった「期待される効果」を記載している。
成分(健康食品・サプリメント) | 期待される効果(例) | 頻度* | 補足 |
---|---|---|---|
青汁 | 便秘解消やダイエット | 高 | ーー |
アスタキサンチン | 老眼に効く | 低 | ピント調整 |
イミダゾールジペプチド | 疲労回復 | 低 | ーー |
カテキン | 脂肪を分解 | 低 | ーー |
グルコサミン | ひざ関節痛を緩和 | 高 | ーー |
コエンザイムQ10 | 抗酸化作用 | 中 | 老化は酸化することだが、酸化を防ぐことを抗酸化という |
コラーゲン | 美容 | 高 | 骨・関節疾患に期待 |
スクアレン | 新陳代謝の活性化 | 低 | ーー |
乳酸菌 | 腸の調子を整え、低下した免疫力の活性化 | 高 | 小腸で働く |
- 乳酸菌シロタ株 | 睡眠の改善、ストレス緩和 | 低 | ーー |
- プラズマ乳酸菌 | 風邪予防 | 低 | ーー |
ビタミンA | 夜間の視力維持 | 中 | 皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンB群 | ーー | 高 | ーー |
- ビタミンB1・2・6 | 皮膚や粘膜の健康維持 | ーー | ーー |
- ビタミンB12 | 赤血球の形成を助ける | ーー | ーー |
ビタミンC | 抗酸化作用 | 高 | 皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンD | カルシウム吸収 | 中 | 腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨の形成を助ける |
ビタミンE | 抗酸化作用 | 高 | 体内の脂質を酸化から守る |
ビフィズス菌 | 腸内の有害菌を抑制 | 低 | 大腸で働く |
ブルーベリー | 目の血管を強化 | 高 | ーー |
ローヤルゼリー | 免疫力の強化 | 中 | ーー |
DHA | 認知機能に効く | 高 | ーー |
EPA | 認知機能に効く | 中 | ーー |
GABA | ストレスの緩和 | 低 | ーー |
L-オルニチン | 解毒作用、脂肪の分解 | 低 | ーー |
L-カルニチン | 脂肪の燃焼 | 低 | ーー |
*何の成分を頻繁に健康食品・サプリ業界が使っているかの目安(高・中・低) |
何の成分を健康食品・サプリ業界が頻繁に使っているかというデータも分析してみた。成分を取り扱う多さで「高・中・低」に分類した結果が、表2の頻度欄である。たとえば、商品名にブルーベリーが入っていても、その商品にはビタミンB1、B6、B12、マリーゴールドなども含まれている。商品名だけからは正しい分析はできない。ほかの含有量まで調査する必要がある。
成分の頻度が「高」や「中」のものは、多くのメーカーが出している。利用者は、どのメーカーの商品でも買える。一方で、メーカーは熾烈な競争で勝ち残らなければならない。そのため市場で生き残っている商品には、利用者が支持している理由がある。
逆に頻度が「低」のものは、希少価値があるが、データが少なく評価はされにくい。効果を証明するデータが十分ではないと言う専門家も少なくない。しかしながら、利用者個々人が効果を実感しているならば声高に否定する必要もない。あくまでも健康食品だからだ。