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- 学校では学べないデジタル時代のデータ分析法
ヘルスケアの分析:その2=健康食品・サプリによる予防【第31回】
自分の身体にあった量がある
19年以上、複数社の、さまざまな商品を取捨選択し、専門書やネットでの評判など膨大な関連情報を分析しながら、現在も筆者が摂取しているサプリは票にある9種類である。これは男性のための視点でみた一例だと言える。目安のため、長年の使用経験・分析から男性視点で役立っていると評価している健康食品・サプリの順番が左の数字である。
【成分】 | 【症状の例】 |
---|---|
1.プラズマ乳酸菌 | 風邪気味 |
2.乳酸菌シロタ株 | ストレス |
3.L-オルニチン | 肝機能の低下 |
4.ローヤルゼリー | 免疫が弱る |
5.コエンザイムQ10 | 動悸 |
6.スクアレン | どろどろ血液 |
7.ブルーベリー | 疲れ目 |
8.アスタキサンチン | ピント調節に違和感 |
9.ビタミンB群 | 吹き出物 |
女性が摂取するサプリに関するデータを分析した結果は表4の通りである。順位は、サプリに関する独自のアンケートの結果、女性視点で役立っていると評価したものだ。女性が利用するサプリと男性のそれとの違いは、貧血、ひざ関節痛に関する症状、そして美容やダイエットに関するサプリが多いことである。
【成分】 | 【症状の例】 |
---|---|
1.スクアレン | 疲労 |
2.グルコサミン | ひざ関節痛 |
3.鉄 | 貧血 |
4.ブルーベリー | 疲れ目 |
5.アスタキサンチン | ピント調節に違和感 |
6.コエンザイムQ10 | 動悸 |
7.葉酸 | 貧血 |
8.ビタミンC | 皮膚トラブル |
サプリ摂取のポイントは、規定量の半分程度から摂取することである。自分の身体にあったサプリは半分の量でも、ある程度は効果が現れるためだ。それがリスク管理にもなる。効果が認められれば規定量か、それ以内で自分に合った適正量を定めていく。
たとえば、体重が60kg未満ならば規定量の半分などである。一概に誰でも同じ量を摂ってはいけない。筆者の場合、さまざまなデータで分析したため、身体の大きさや体重、性差、年齢、疲れ度合いなどで必要な量が変わることが体験的に理解できた。ヘルスケアの世界にも黄金比が存在することも分かった(第22回参照)。「カルシウム2に対してマグネシウム1を摂る」ことが推奨されているのが、その一例だ。
情報を収集・分析し効果を正しく見極める
食事で足りないもの、あるいは、その自覚症状があれば、食生活や生活習慣を変えるのが一番良い。それが、なかなか改善できない場合に健康食品やサプリを検討すれば良い。たとえば、ヨーグルトが苦手、体重が気になる、アルコールが好き、魚を食べる機会が少ないなどの生活習慣があるのならサプリを試してみたい。
食事で足りなくて該当する成分をサプリで摂取する場合は、余分なサプリを摂る必要は全くない。「サプリメント(supplement)」の意味通り「補足」だからだ。サプリは、病気になっていないが健康に近づきたい人の要望に応じている。医薬品ではなく、食品だと考えればいい。
たとえば、ねん挫をした場合、湿布をすると効果がある。しかし、何の怪我もしていないのに湿布をしても変化はない。場合によっては肌が荒れてしまうなど逆効果すら起こる。同じように、弱っている人が該当するサプリを摂取すると効くこともあるが、そのサプリを健康な人が摂っても変化はない。湿布による肌荒れのように、成分の摂り過ぎの影響が出るときもある。
筆者がサプリを購入する際は、各社の商品を比較したうえで実際に試し、効果があったものだけを継続している。これも分析の1つである。尺度は「効き目・価格・成分・カテゴリー・顧客対応」だ。効果はあくまでも筆者の主観ではあるが、実際の結果である。第7回でベイズ推定を紹介したように主観的に分析することにも十分に価値がある。
サプリを販売する企業の9割以上が小規模メーカーで、色々な事業者が進出している。売上高が多い企業の商品を薦めているわけではない。売上高上位の企業でも顧客対応が最悪なところもあれば、誠実な小規模メーカーも存在する。顧客対応の善し悪しは、コールセンターと実際に複数回、会話すれば知ることはできる。各人が情報を収集・分析し正しく見極めたい。今回の内容が取捨選択の参考になれば幸いである。
次回は、ヘルスケアに関するデータを本格的に分析する際に役立つ辞書を紹介する。
入江 宏志(いりえ・ひろし)
DACコンサルティング 代表、コンサルタント。データ分析から、クラウド、ビッグデータ、オープンデータ、GRC、次世代情報システムやデータセンター、人工知能など幅広い領域を対象に、新ビジネスモデル、アプリケーション、ITインフラ、データの4つの観点からコンサルティング活動に携わる。34年間のIT業界の経験として、第4世代言語の開発者を経て、IBM、Oracle、Dimension Data、Protivitiで首尾一貫して最新技術エリアを担当。2017年にデータ分析やコンサルテーションを手がけるDAC(Data, Analytics and Competitive Intelligence)コンサルティングを立ち上げた。
ヒト・モノ・カネに関するデータ分析を手がけ、退職者傾向分析、金融機関での商流分析、部品可視化、ヘルスケアに関する分析、サービスデザイン思考などの実績がある。国家予算などオープンデータを活用したビジネスも開発・推進する。海外を含めたIT新潮流に関する市場分析やデータ分析ノウハウに関した人材育成にも携わっている。