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デジタルビジネスを成功に導く「デジタルオーケストラ」【第10回】

今井 俊宏(シスコシステムズ イノベーションセンター センター長)
2018年8月13日

デジタルディスラプションに向けた取り組みを進めるにあたっては、考慮すべきことがいくつもある。目指すべき戦略と方向性が明確になっているか、各部門間での連携が取れているか、個人のスキルや能力は十分か、などなどだ。そうしたデジタルビジネスを成功に導くためのオペレーションモデルを“オーケストラ”に例えて解説する。

 デジタルディスラプションに向けた戦略と方向性を確立し、関係者が一丸となって実行することは、オーケストラにおける一連のプロセス、つまり、楽曲を作曲し、その曲を演奏する際にはオーケストラの各セクションが適切なタイミングで奏で、曲に命を吹き込む“シンフォニー”に似ている。

 しかし、たとえどれほど美しい楽曲を完成させたとしても、オーケストラが演奏する際、すべての楽器が同時に演奏、あるいは好き勝手にバラバラに演奏してしまっては、せっかくの楽曲も単なる不快なノイズでしかない。

 またオーケストラは、最初の音符を演奏する前に、まずは演奏する音楽(少人数で演奏する交響曲、フルオーケストラ、バラード、ロックなど)を選択する必要もある。演奏する音楽を選択したら、次にオーケストラの各セクションが、どのように連携するかを決定する。

 企業に例えれば、音楽を選択することは、どのカスタマーバリューにターゲットを絞るか、そして、どの対応戦略を採るのかなどに相当する。オーケストラの各セクションは、企業の各部門と考えられる。

DBTセンターの調査で4セクション10領域が浮上

 「Global Center for Digital Business Transformation(DBTセンター)」では、デジタルディスラプションを実行する際、企業のどの部門が必要で、それらの部門同士が上手く協調するための秘訣は何なのか、などについての調査研究を進めている。その結果、積極的に考慮する必要がある10個の領域を特定した。それらをオーケストラの一般的な4つのセクション(弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器)に習い整理している(図1)。これを「デジタルオーケストラ」と呼んでいる。

図1:デジタルディスラプションの実行時に積極的に考慮すべき10個の領域を4つのセクションに整理した「デジタルオーケストラ」

 以下では、デジタルオーケストラの4つのセクションごとに、考慮が必要な10領域でのポイントを記述する。

セクション1:Go-To-Market/市場開拓

 何を提供し、どのように販売・展開するかを担当するセクションである。2つの考慮すべき領域がある。

領域1:デジタルサービス

・機会を追求する、または、脅威を回避するために必要なデジタルサービスは何か
・デジタルサービスは、完全にデジタル化されているか、もしくは、デジタルと物理的な要素を組み合わせたものか
・新たなデジタルサービスは、従来のサービスと何が違うか

領域2:チャネル

・デジタルサービスをどのように販売するか
・チャネルをどのように組み合わせて販売するか
・従来のチャネル戦略と、どのように差別化するか
・デジタルサービスの価格をどのように設定するか