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  • 会津若松市はデジタル化をなぜ受け入れたのか

会津若松スマートシティを地域で支えるローカルマネジメント法人【第10回】

〜データに基づく市民中心のスマートシティの実像〜

中村 彰二朗(アクセンチュア 福島イノベーションセンター センター長)
2018年8月23日

一般社団法人スマートシティ会津

 選定されたプロジェクトの運営を担当する。10以上の団体からなっている。スマートシティプロジェクトにおいては、市民やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)から提供されるビッグデータには個人情報を含むものがある。それを安全に管理・運用することが求められるため、ガバナンス組織として法人格を有していることが重要だ。

 会津若松スマートシティは、収集するデータの活用目的をプロジェクトごとに明示し、市民の承諾を得たうえ(オプトイン)で利用している。データは活用して初めて価値を生み出す。データ提供者である市民に活用成果をフィードバックすることで、その価値を実感してもらい、さらに地域や自治体、ひいては国全体に貢献していることを認識してもらうことが大切だ。

 市民にポジティブな情報提供行動を促すことは、デジタル時代において不可欠な意識改革の取り組みの1つである。スマートシティ会津は、市民への啓もう活動とデータガバナンスという重要な役割を担っている。

 さらに、地方創生の中核組織になるであろう、ローカルマネジメント法人の位置付けにもある。他地域の多くのスマートシティプロジェクトは、任意団体が推進している。だが持続可能なプロジェクトとし、実証から実装に移行する段階では、法人化が必須条件になる。充実したサービスを提供すれば利用率が上がり、サービス運用が軌道に乗ると一定の収益が生まれるためだ。

 具体的には、サービス利用料徴収のビジネスモデルや、デジタルコミュニケーションポータルにおける広告収入、ビッグデータの2次的利用による情報信託機能、地域エネルギーマネジメントなど、スマートシティは、行政の従来業務からのシフトや、ビッグデータによる新たなビジネスを生み出す可能性が考えられる。

 スマートシティ会津の定款では、スマートシティが生み出した収益を新たなサービス開発に再投資することを設立当初から定めている。市民から預かったデータを活用して地域を活性化させ、サービス提供による財源を確保し、そこで得た収益を再投資することでスマートシティは発展し続けるのである。

一般社団法人オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)

 世界最高レベルの電子政府および電子自治体をオープンなクラウド技術で実現することと、市民中心のオープン・フラット・シェアモデルを追求・推進することをビジョンに掲げる社団法人である。国内外37のIT企業で構成され、政策提言や実証事業を実施している。

 そのビジョンに即し会津若松においては、IoTプラットフォームの世界標準やオープンスタンダードの検証といったテクノロジー支援や、地方創生政策である機能移転モデルを提唱する。

 現在、以下の11の分科会・研究会を運営している。各分科会が策定した実証計画のいくつかは、会津を実証フィールドとして実施されている。

(1)データヘルスケアプロジェクト分科会
(2)オープンスマートシティ分科会
(3)サイバーセキュリティ分科会
(4)高度IT人材育成分科会
(5)エネルギー改革分科会
(6)AI・ロボット分科会
(7)Fintech分科会
(8)働き方改革分科会
(9)API Economy分科会
(10)最新技術研究会
(11)モビリティ研究会

 2018年度からは、AI・ロボット分科会の実証事業を会津大学と連携して開始した。今後重要になる人材を育成するために、会津大学と共同で人材育成講座も開催している。OGCセキュリティ分科会の中核メンバーは、実践的サイバー演習を通じてサイバーセキュリティの人材育成を担当している。