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  • 地方版IoT推進ラボが取り組む課題解決プロジェクト

観光に並ぶIT産業をさらに発展させ沖縄の持続性を高める【沖縄県IoT推進ラボ】

川満 寿幸( 沖縄県 商工労働部 情報産業振興課 情報・金融産業振興班)
2019年3月22日

先端的な技術やアイデアを組み合わせるための3機能

 組み合わせるための”場”の実行に向けては、(1)シンクタンク・戦略提言、(2)事業プロデュース、(3)スタートアップ・人材育成支援の3つの機能を提供する。

シンクタンク・戦略提言機能:最新テクノロジーやイノベーションの動向を調査・収集するとともに、ITを活用した長期的な産業成長戦略を提言する。

事業プロデュース機能:AI、IoT、サイバーセキュリティといった分野に集中し、技術やノウハウを導入するとともに、観光をはじめとする県内の主要産業とITの連携を図ることで共創によるイノベーション(オープンイノベーション)の創出を図る。

スタートアップ・人材育成支援機能:スタートアップのための環境づくりやIT産業のための人材、ITを活用できる人材の育成を支援する。

 これら3つの機能を連携させ、その相乗効果によって、民間企業・団体や学術機関、金融機関、行政機関などが集い、参加者それぞれが持続的に成長できる環境、すなわち新たなエコシステムを構築し、沖縄県の経済発展を推進していきたい考えだ。

  具体的には、以下のような取り組みを実施している。

(1)国内外の先端IT技術や県内各産業におけるIT活用事例などの実態を調査し、県内IT産業のポジショニングや課題などを分析。その上うえでIT産業と他産業の連携による新たなイノベーション創出に向けた取り組みなどを検討する。

(2)県内IT企業が保有する技術や強みといった情報を収集したデータベースを構築し、国内外に情報発信する。同データの分析に基づくビジネスアイデアのブラッシュアップやマッチングイベントの開催などにより、ビジネスパートナーの検索や他産業におけるニーズや課題などとのマッチングを促進する。

(3)企業や自治体が抱える課題の解決やイノベーションの創出を促進するために、IT産業と他産業の連携・協業の場を創り出す。さまざまな関係者が対話し、新たなアイデアと関係性の形成を図るフューチャーセンターを設置・運営する。

写真2:ISCOセミナーの様子
写真3:フューチャーセッションの様子

 設立から間もないだけに、実質的な成果が生まれるのはこれからだ。プロジェクトを進めていく過程で、想定外の出来事や第三者からの評価による“気付き”が得られることも期待している。

 ISCOの取り組みによって、県内各産業の振興が図られ“沖縄発”の新ビジネスや新サービスが全国、さらにはアジアへ展開することを目指したい。ISCOが、名実ともに沖縄県経済の牽引役になるためには、出資企業・団体をはじめ関係機関との連携・協働が不可欠である。

 そのためにも、ITイノベーションを創出する機関としてのISCOの認知度を高め各種会員数を拡大しながら、沖縄から最先端のITイノベーションを活用する場や機会を提供していきたい。

川満 寿幸(かわみつ・としゆき)

沖縄県 商工労働部 情報産業振興課 情報・金融産業振興班