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  • 地方版IoT推進ラボが取り組む課題解決プロジェクト

AI特化の「Sapporo AI Lab」を置きAI人材育成などに取り組む【札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアム】

濱口 伸哉(札幌市 経済観光局国際経済戦略室 IT・クリエイティブ産業担当課)
2019年4月26日

俳句作りを人間と競う「AI俳句プロジェクト」も始動

 AI人材育成に向けては、AIエンジニアやプランナーを育成する「札幌AI人材育成プログラム」を立ち上げ「AI勉強会」を開催している。Sapporo AI LabがAI TOKYO LABと北海道ソフトウェア技術開発機構と連携し、IT企業あるいはユーザー企業の初心者から上級者までを対象に一連の人材育成プログラムを提供する。2017年度からは、大学や企業でAIの研究・開発の最前線に立つ講師を招聘し実施している。多くの講座が定員が埋まるほどの人気だ。

写真2:多くの受講者が参加する「AI勉強会」の様子

 並行して、コーディネーターによるAI関連案の件コーディネートにも取り組んでいる。すでに産学官連携による複数のAIプロジェクトが始動している。俳句を読むAIを開発する「AI俳句プロジェクト」や、円山動物園における飼育動物の行動をAIを使って調査するプロジェクトなどだ。AI俳句プロジェクトは、人間と俳句対決といった企画がNHKの全国放送で紹介されている。

写真3:AI俳句プロジェクトにおけるイベントの様子。北海道大学で2018年7月、道外から多数の俳人を招きAIと対局した
写真4:円山動物園における夏休みのイベントの様子。AIによるチンパンジーの個体識別を子どもたちが体験した

 これらの取り組みは、Webや展示会などで紹介し、札幌でのAIに関する活動が盛んなことを積極的にPRもしている。AI俳句については2019年3月、米オースティンで開催された大規模イベント「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)」にも出展した。SXSWは、アートや音楽などを扱うイベントだが、最近は次世代の製品/サービスを世に問う場所として大手企業による出展も増えている。

札幌におけるAIビジネス創出を加速

 Sapporo AI Labが立ち上がったことで、札幌においてもAIの動向に関する情報が集まりやすくなってきた。情報が集まることで、どんな施策を打てば、より効果的かを検討したり、支援情報のより広範囲への発信にも取り組みやすくなる。特に教育機関が参画していることで、最新技術情報の企業との共有が進んだり、共同研究に取り組みやすくなったりも期待する。

 今後は、Sapporo AI Labによる勉強会を継続しながら、実ビジネスや製品/サービスの開発に結びついた事例を札幌で作り上げるための“橋渡し”の役割を強化していきたい。

濱口 伸哉(はまぐち・しんや)

札幌市 経済観光局国際経済戦略室 IT・クリエイティブ産業担当課