- Column
- Society 5.0への道
戸田建設、エネルギー課題などを取り込んだデジタルなまちづくりをCEATEC 2020で提案
デジタルが持つ可視化の力を活かし住民も気付かぬ課題やニーズを先取り
コロナ禍での「Two Impact」に対する“解”を提示
具体的には、脱炭素化や洋上風力などの再生エネルギーの活用に加え、エネルギー消費の最適化に向けたスマートグリッドなどを取り込みました。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けたニューノーマル時代のオフィスの在り方なども提案します。
加えて今回は、2日目に当社 社長の今井 雅則が講演に立ち、SECCと、そのベースにある考え方である「ツー・インパクト(Two Impact)」についてお話しします。
ツー・インパクトとは、私たちが直面している2つの変化を指しています。1つは、ここ10年来の急速なデジタル化による建物や都市に対するニーズの変化です。デジタル化は、これまで見えなかったものを可視化し、新たな課題やニーズを生み出しています。
ただデジタル技術の革新の早さゆえに、当社の顧客であるデベロッパーや、その施設を利用する一般の方々も、その新たなニーズに気付いていないことすら少なくありません。ニーズが具体像になっていない中で建物やまちをつくり出すことは、劇的な変化です。
もう1つは、COVID-19による社会の変容です。今後、人との接触を避けるためのデジタル技術の活用が進む一方で、対面によるコミュニケーションの大切さは変わらない、あるいは、これまで以上に大切になるでしょう。
学校の教育現場や企業の職場など、リモートの世界とリアルな世界を、どう折り合いをつけていくのか。デジタル化とは別次元で、この数年の大きな課題になるはずです。
これら2つの変化から言えるのは、従来のゼネコン然としたビルの作り方では将来ニーズへの対応は到底難しいということです。それはまちづくりでも同じです。そこで当社は、状況の克服に向け、設計の考え方や技術、顧客や市民との協業の仕方など、建物というモノだけでなく、暮らしや働き方などコトのデザインや設計のあり方にまで対象を広げながら、SECCとして表現しています。
−−SECCはとても広範なコンセプトだと思いますが、逆に課題意識がないと解釈が難しいようにも思います。
そうした面は理解していますが、まずはSECCモデルで、戸田建設という存在や、当社が建設やまちづくりに対して持っている考え方の根本を知っていただければと思います。将来のまちの全体像を感じ取っていただき、みなさんがお住まいの地域が、SECCのようになったら、どう感じるのかを考えてほしいのです。
SECCの中央に位置する巨大タワーはビルでもあり都市でもある
これまでの都市が無秩序に拡大していくスプロール化を伴う都市開発は、エネルギー消費やインフラの整備コストなどの面から限界に近づいています。そこでSECCでは、機能分担により都市をコンパクトにまとめ、グリーンインフラの挟み込みなどで環境にも配慮しようとしています。
その象徴が、SECCのコンセプト図の中央にある大きなタワーです。このタワーは、オフィスや居住区、病院など、健康で快適な社会の実現に必要な機能を包含した建物であり、都市でもあります(図3)。
そこでは、生活に必要なあらゆる機能がデジタルによる情報流通のエコシステムにより高いレベルで実現されます。高齢化に伴う“買い物難民”といった社会課題に対する私たちからの1つの“解”です。
このタワーを、さまざまな要素が取り巻くことでまちや社会が形成されてきます。要素としてCEATEC 2020 ONLINEでは、4つのソリューションを提案します。スマートオフィス、スマートグリッド、地方創生、TIS(Toda Innovation Site)です。
スマートオフィスでは、30年後の未来に向けたオフィス像を描いています。当社はオフィスを「価値を創造する場」と捉えており、そこにスマート技術をどう適用するかを提案します。当社自身、2024年に竣工予定の新本社ビルを建設中であり、そこに取り込まれたデジタル機能など、当社準備中の仕組みを社員が撮影した現場の動画を交えて紹介します。
スマートグリッドでは、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた次世代電力網の考え方とともに、人と地球にやさしい行動を提示します。地方創生では、地域特性を活かしたまちづくりの事例として、農業や遊休化した公共施設にデジタル技術を組み込むなどの実証実験の詳細を確認していただけます。
TISは、私たち建設業自身のデジタル化がテーマです。将来の建設現場がデジタルによって、どのように自動化されていくのかを、近未来と少し先の未来に分けて提案します。