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戸田建設、エネルギー課題などを取り込んだデジタルなまちづくりをCEATEC 2020で提案

デジタルが持つ可視化の力を活かし住民も気付かぬ課題やニーズを先取り

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2020年10月14日

ゼネコン大手の戸田建設は、2019年に続き、オンライン開催となった「CEATEC 2020 ONLINE」に出展し、デジタルによるまちづくりの“これから”を問いかける。戸田建設は今回、どんな建物や都市の未来像を提示するのか。将来ビジョンの深化に取り組み続ける同社 建築設計統轄部 スマートソリューション設計部長の堀内 信男 氏に、CEATEC 2020 ONLINEでの出展内容や、オンライン開催となったCEATECへの期待などを聞いた。(文中敬称略)

−−CEATECへの参加は今回、2回目になります。2019年の初出展の手応えはどうでしたか。

 戸田建設 建築設計統轄部 スマートソリューション設計部長の堀内 信男です(写真1)。前回参加の大きな狙いは、異業種交流にありました。デジタル技術を駆使するスマートシティへの取り組みは、技術そのものと、活用方法の広範さから、当社単独で進められるものではないからです。

写真1:戸田建設 建築設計統轄部 スマートソリューション設計部長の堀内 信男 氏

 その点ではすでに、いくつもの成果を得られています。たとえば、2019年は各種の無人化技術や、いわゆるスマート農業による農業の6次産業化を通じた地域社会を生み出す実証実験として茨城県常総市での「アグリサイエンスバレー」などを紹介しました(図1)。これらにより、センサーメーカーなどと新たなつながりが生まれたり、地方創生の共同プロジェクトが動き始めたりと、当社においては、これまで見られなかったような活動が広がってきています。

図1:茨城県常総市で農業の第6次産業化を目指す「アグリサイエンスバレー」のイメージ

 思わぬメリットもありました。スマートシティへの取り組みには、設計から、エンジニアリング、開発計画などの複数の部署が参画しています。将来像の議論を通じて社内の共通見解は得られてはいますが、実務経験の違いから、将来像の理解に若干のズレも生じていました。出展内容を固めていく過程で、そのベクトルが一致していったと感じています。

 2020年も多様な部署から約100人のメンバーが集まり、それぞれの考えをすり合わせながら出展内容を絞り込んでいます。その過程での議論の価値は、将来に向けては決して小さなものではありません。CEATECへの参加は、社内の意思統一の上でも良いきっかけになっています。

−−2020年の出展の目玉は何でしょう。

 前回はデジタル時代のまちづくりとして「スマート・コンプレックス・シティ(SCC:Smart Complex City)」を紹介しましたが、今回は、そこにエネルギーの課題を取り込んだ「スマート・エネルギー・コンプレックス・シティ(SECC:Smart Energy Complex City)」を提案します。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成に向けた都市モデルとして、さらに踏み込んだ形です。

図2:「スマート・エネルギー・コンプレックス・シティ(SECC:Smart Energy Complex City)」