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神戸市がCEATECでニューノーマル時代の企業誘致、“進取の気風”の国際都市に暮らし自治体課題の解決を

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2020年10月16日

−−神戸市はベンチャー企業などとのオープンイノベーション(共創)などへ早くから取り組んできましたが、CEATECでは、どの取り組みを紹介するのでしょう。

 神戸市では、さまざまな企業誘致策を実施していますが、今回は実証実験支援プログラムの「Be Smart KOBE」や、スタートアップ支援事業の「500(ファイブハンドレッド)KOBE ACCELERATOR」を中心に紹介します。

 Be Smart KOBEは、神戸が誇る海や山を実証フィールドに位置付け、世界が直面している人口減少や高齢化、エネルギー転換といった課題解決を目指すプロジェクトです(図2)。

図2:「Be Smart KOBE」では海と山とが近接する神戸市の特徴を実証フィールドに位置付ける

 実証実験の実施に向けて、神戸市が各種行政機関や企業との連携にかかる調整・相談、広報支援を行ったり、実施費用に補助金を提供したりします。事業スキームの検討にあたって、メンターによる支援もあり、アドバイスを受けながら事業化に取り組んでいただけると思います。最先端技術やデータを活用して課題解決に取り組む事業者を、企業規模や創業時期を問わず、幅広く支援します。

 一方の500 KOBE ACCELERATORは米シリコンバレーを拠点とするベンチャーキャピタルの500 Startupsをパートナーに、国内外の優秀なスタートアップを支援するプログラムです(写真2)。

写真2:多くの参加者を集めている「500 KOBE ACCELERATOR」。写真は同イベントでの集合写真の例

 こちらは2016年からスタートしており、これまでの4年間で800社以上が応募し、実際にプログラムに参加した71社による資金調達総額は約110億円に達しています。2020年は新型コロナウイルスをテーマにオンラインで開催されており、2020年11月に成果を発表するデモデイが開かれる予定です。

市職員がスタートアップと協働し課題を解決

 Urban Innovation KOBEは、神戸市の職員がスタートアップと協働して地域課題に取り組むプロジェクトです(図3)。年間約15件が採択され、実証実験が結果成功したものについて、神戸市が実際に調達している事例もあります。

図3:市職員がスタートアップと共同し課題解決に取り組む「Urban Innovation KOBE」

 これまでの約2年で約200件の応募があり、課題解決率は70%以上、実際に市からの調達に至った課題も40%以上という大きな成果を上げています。

 神戸市がはじめた行政職員が協働する地域課題解決プロジェクトは全国の自治体からも注目されています。2019年度下期からは、神戸市以外の自治体も参加するプロジェクト「Urban Innovation Japan」に成長しています。

 Be Smart KOBEや500 KOBE ACCELERATOR といった施策を通して、進出先としての神戸市の魅力を感じていただければ嬉しいですね。