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JETROが海外スタートアップとの「出会いの場」をCEATEC 2020 ONLINEで創出

過去最大規模の17カ国から45のスタートアップが参加

工藤 淳(フリーランスライター)
2020年10月19日

JETRO(日本貿易振興機構)は2020年も「CEATEC 2020 ONLINE」に専用ブースを出展し、海外のスタートアップと日本企業のマッチングに向けた新企画を強力に展開する。オンライン開催になった今回のCEATECだが、JETROはこれをオープンイノベーション(共創)拡大の好機とも考えている。CEATECへの期待や、海外から訪れるスタートアップなどについて、JETRO イノベーション・知的財産部 イノベーション促進課 課長の吉田 悠吾 氏に聞いた。(文中敬称略)

 JETRO(日本貿易振興機構)は、海外とのビジネスを振興する公的機関として、輸出入や海外投資など日本企業の海外ビジネスを幅広く支援している。近年では、オープンイノベーション(共創)に取り組む日本企業の支援にも力を入れている。その一環でCEATECには、2017年から「JETRO Global Connection」を出展し、日本企業と海外のスタートアップ企業の“出会いの場”を創出してきた。

 オンライン開催となる「CEATEC 2020 ONLINE」でも、この「JETRO Global Connection」を展開し、ネット上でのミートアップや、チャットによるコミュニケーションなどを可能にする。

−−JETROは以前からCEATECへの出展には積極的でした。

 JETROイノベーション促進課 課長の吉田 悠吾です。JETROとCEATECの関わりは長く、一貫して後援や協力機関として参加してきました。

写真1:JETRO イノベーション・知的財産部 イノベーション促進課 課長の吉田 悠吾 氏

 2017年からは、海外のスタートアップを集めたブース「JETRO Global Connection」の出展を始めました。ここ数年、私たちは日本企業各社のオープンイノベーションをサポートしていますが、「JETRO Global Connectionは、その一環です。2019年には「ヘルステック」「スマートホーム」「モビリティ」の3分野をテーマに、関連する海外スタートアップが展示や商談会を実施しました。

オンライン開催だからこそCEATEC初参加のスタートアップも

 CEATEC 2020はオンライン開催になり、従来のような人を集める展示や商談会は難しくなりましたが、CEATEC事務局とも対応を協議しながらオンラインによる「JETRO Global Connection」の出展にチャレンジすることを決めました(図1)。

図1:2020年の「JETRO Global Connection」はオンラインにチャレンジ

 オンライン開催では、展示内容を見て、関心があれば双方を引き合わせ商談するといった流れをどう再現するのか、海外との時差があるなかでコミュニケーションをどう取るのかなど、さまざまな課題が考えられます。

 しかしJETROとしてはオンライン開催を、逆境ではなく、むしろチャンスと捉えています。今回、JETRO Global Connectionに参加するスタートアップは、17カ国から45社と過去最大の規模です。この中には、トルコやルーマニア、メキシコなどCEATECに初めて参加する国の企業も含まれています。

 展示会では各国の大使館や支援組織が自国のスタートアップをプッシュする「ナショナルパビリオン」のスタイルが一般的ですが、JETROは特定の国に限定せず、スタートアップの実力や日本が求めている技術かなどを総合的に評価して紹介しています。

 並行してイベントプラットフォーム「EventHub(イベントハブ)」を使った商談のアレンジも10月13日から始めています。オンラインで、企業検索やチャット、オンライン商談の設定、ビデオ通話によるオンライン商談までがCEATEC会期中に利用可能です。

 今回、リアルでは、なかなか参加が難しかった国からもハイレベルなスタートアップの出展が実現したことは、やはりオンラインで参加しやすくなったことが大きな要因だと思います。ここで最初のコネクションが作れれば、CEATEC閉幕後も、さまざまなコミュニケーションを継続できると期待しています。

−−前回のCEATEC 2019での「JETRO Global Connection」では、成果が得られましたか。

 JETRO Global Connectionは、JETROが実施するオープンイノベーション関連のイベントとしては最大規模で、2019年は15カ国から34社が来日しました。分野も、ロボットやスマートグラスを使ったAR(拡張現実)/VR(仮想現実)など多岐にわたりました。デモブースを設置したほか、CEATECのオフィシャルパートナーでもある米シリコンバレー発のインキュベーターPlug and Play Japanさんと連携したステージイベントなども大好評でした。