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  • これだけは知っておきたいデジタルマーケティングの基本

One to Oneマーケティングを進化させる利用者情報【第3回】

清家 直裕(ADKマーケティング・ソシューションズ デジタルビジネスプロデュース本部 本部長)
2019年7月25日

暮らしや生活のデジタル化がサービスやUXを進化させる

 個人情報保護やプライバシー問題、あるいはGAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple)など巨大プラットフォーマーへのデータの一極集中など、利用者情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があるが、デジタルテクノロジーを使って、顧客の満足度を高めることは、ユーザーエクスペリエンス(UX:User Experience)の向上につながることは間違いない。

 最近の筆者の経験でも、このUX向上を意識させるサービスがあった。ここ数年利用しているクリーニング店が2つの新サービスを採り入れたのだ。1つは会員証のアプリ化、もう1つは電子決済の導入である。

 会員証のアプリ化では、会員証を持たなくて済み、利用履歴もアプリに記録されるためレシートが不要になり、引き取り予約もアプリで完了できるようになった。店頭では受け取るだけと時間が短縮された。

 電子決済でも、これまでの現金か事前支払いの回数券しか利用できなかったのに比べれば、会計時間は劇的に短くなっている。これら2つの新サービスで筆者のUXは相当なレベルで高まったし、UXだけでなく、クリーニング店のオペレーション効率も高まっているはずだ。このアプリにIoTの仕組みを組み合わせれば、また新しいサービスを生み出せる可能性がある。

 暮らしや生活のデジタル化は確実に始まっている。デジタルを使ったサービスは今後、ますます増えていく。そして、利用者のデータを活用することで、サービスもまた進化し、UXの向上につながっていく。ネットビジネスやIoTに取り組むとは、UXを高めるための取り組みなのである。

清家 直裕(せいけ・なおひろ)

ADKマーケティング・ソシューションズ デジタルビジネスプロデュース本部 本部長。マーケット黎明期からデジタル広告を活用したデジタルマーケティングに従事。通信、金融、メーカー、日用品、通販などの業界において、ブランディング系からパフォーマンス系まで対応。デジタルパブリッシャーやアドテクノロジー企業に在籍した経験からProgrammatic Buying領域にも造詣が深く、同領域にソシューションを組み合わせた、デジタル広告のサプライチェーン効率の向上にも多数取り組んできた。2019年度から現職。明治大学法学部法律学科卒業。